- グループ企業各社同士でKPIなどを比較できるデータ基盤を構築したい
複数のアパレルブランドを傘下に置く大手商社では、EC強化やDX推進を目的として各ブランドECサイトのGoogle Analytics(GA)データの蓄積およびデータ分析環境の構築を、同社のDX戦略部門主導で進めています。
しかし、グループ企業各社ごとにGAの設定や分析手法が異なっているほか、分析レベルも統一されていませんでした。このためデジタル戦略室側でのブランド間を比較したKPIの把/評価、戦略立案などが難しい状況でした。また、GAのバージョン「ユニーバサルアナリティクス(UA)」の計測終了に伴い、最新バージョン「GA4」の切り替えに向けて、UAのデータバックアップおよび、UAとGA4のデータを統合したデータマートの構築が必要という状況でした。
そこで当社では、ブランド横断型のデータ基盤構築と、UAとGA4の統合データマート構築を支援いたしました。
- UAとGA4のデータが自動で蓄積・統合されるデータマートを構築。アクセスユーザーの権限管理を徹底し、安全性も担保
まず着手したのは、UAで蓄積していたデータのバックアップ取得です。こちらに関してはPythonのプログラムを用いてGAのAPIデータを自動取得し、BigQueryへ保管する仕組みを設計。特定の項目を日次でバックアップできるようにしました。
続いて、GA4のデータもBigQueryに自動連携したほか、UAとGA4のデータを統合。分析用データマートを構築し、各ブランドの複数ビューを横断可能な状態にしました。ここでポイントになるのが、ユーザーの権限管理です。
デジタル戦略室ではブランドを横断した分析が必要になりますが、各ブランドの担当者まで他のブランドのデータを閲覧できる状態ではさまざまなリスクが懸念されるため、GCPのアクセス制御機能を用いて各アクセスユーザーの権限管理を徹底しました。
さらに、データマートに蓄積された統合データを用いたデータ分析とデータ可視化を行なうべく、流入別やユーザー別など目的別に着目した複数のサマリデータを作成し、これをAPI連携で取得。取得したデータはLookerやGoogle Data Portal、TableauなどのBIツールに接続することで、さまざまな視点でのデータ可視化とレポーティングが可能になりました。
- ブランドを横断したデータ分析で、各ブランド担当のデータ活用レベルを底上げ!
ブランド横断型のデータ基盤を構築した結果、さまざまなBIツール上でデータ可視化ができるようになり、目的に合わせた柔軟なレポート作成も可能になりました。
そして、ブランドを横断したデータ分析により、例えばブランドA、B、C各社の主要KPIの合計値や平均値の算出、CVRや収益など特定の項目に着目した比較も容易にできるようになりました。
このように複数ブランドで標準化されたデータをもとに、EC活用がうまくいっているブランドの施策を他のブランドへ横展開させたり、データドリブンな打ち手を情報共有することで各ブランドのEC担当におけるデータ活用レベルの底上げにつなげるなど、さまざまな活用方法が考えられます。
GAはデータの宝庫であるため、取得すべきデータの組み合わせにはまだまだポテンシャルがあると考えています。今後も研究・検証を重ね、より高度なデータ分析を実現する分析基盤の開発を進めてまいります。