ダイレクトマーケティングは、アメリカのダイレクトマーケティング協会(DMA)の定義によれば「一つまたは複数の広告メディアを使って、測定可能な反応あるいは取引をどんな場所でも達成することのできる双方向のマーケティングシステム」のこと。
もう少し噛み砕くと、紙やWeb、メール、電話など様々な広告メディアを使い、個別のターゲットと直接的に双方向のコミュニケーションを行うことで、取引を成立させることはもちろん、顧客の反応を測定して次のプロモーションにつなげるようなマーケティングシステムのことを指す。
ダイレクトマーケティングは企業が小売業や卸売業、広告代理店など、中間業者を通さずに見込み客や顧客と直接コミュニケーションが取れるマーケティング活動と評されることもある。さらに、ターゲットの購買行動をはじめとする様々な個人データを企業側で蓄積できるため、より効果的かつ効率的なマーケティング活動に生かすことができる点もメリットだ。
費用対効果が高く、効果検証がしやすい、PDCAサイクルを回しやすいといった利点がある反面、軌道に乗るまで時間を要するケースや、反応の良い広告がすぐに劣化するケースもあるため、最適なプランを導き出すための試行錯誤や定期的な効果検証が成功の鍵を握るマーケティング活動と言えるだろう。
アドビシステムズ:ソフトウェアのアイコンを模したコースターで、ターゲットをWEBに誘導
Photoshopを始めIllustrator,InDesignなど数々の画像・映像を加工・編集ソフトを手がけるアドビシステムズ株式会社は、DMとデジタル施策を組み合わせたプロモーション活動によって、デザイナー向けの商品の新シリーズへの買い替えを促すプロモーションを成功させた。
具体的には、デザイナー向けにソフトフェアの新シリーズへの買い替えを促すため、DMを作成。このDMは、オフィスのデスクに置いてもらえるようにコースターを入れた箱型のDMとなっている。またコースターは、ソフトフェアのアイコンをモチーフにしているため、デザイナーには馴染みがあり、社内で気軽にソフトフェアのことを話題にしやすい工夫がされている。
ほかにも、別のコースターセットが当たるWEBキャンペーンも同時に開催しており、コースター自体に興味を抱いた人を引き寄せる施策が行われている。
そして、DM送付エリアに週4回以上訪れる顧客に対しては、スマホにバナー広告を表示。さらに、WEB記事広告を出稿し、顧客のリピート購入につながるデジタル施策を組み合わせることで、様々な段階の顧客を余すことなくフォローするようにした。
DM自体がデザイナーの心を掴むものとなっていることが大前提で、さらに別のコースターセットを設けるなどWEBサイトに何度も訪れるような工夫がされており、加えてデジタルマーケティングによって効率良く顧客のフォローアップも行なっている。
DMの強みとデジタル施策の強みを組み合わせた、まさに好例。この施策によって同社は多くのエンゲージメント獲得につなげることができたそうだ。