主に小売市場において、所得水準と小売店舗の生産性の変化が小売店舗数に影響を与えるというもの。イギリスの経済学者P.フォード(P. Ford)が唱えた仮説。
所得水準の上昇によって消費支出水準が向上すると、店舗面積の拡大が求められる。
しかし、価格訴求が重要となる生活必需品などの量産商品を取り扱う小売店舗は、店舗規模の拡大などによって販売生産性が向上すると、販売生産性の低い零細・小規模小売店舗は淘汰されていき、その結果として店舗密度が低下する。
一方、所得水準の向上は消費の多様化・個性化を推し進め、高級品・嗜好品などの非量産商品に対する需要を増大させ、これらを取り扱う店舗の数が増加して店舗密度が上昇することになる。
たとえば、スーパーマーケットのような販売生産性の高い大型小売店が進出すると、周辺零細・小規模小売店は競争から脱落し、その地域での小売店舗密度を減少させる。
さらにこうした大型店が取扱商品を高級品・奢侈品にまで拡大するようになると、小規模な専門店なども淘汰されて、店舗密度の低下傾向はいっそう促進されるのだ。