令和元年となった今日、ブランディングカンパニーSINCE.は2期目を迎えた。会社としてどんな方向に行くのか改めて考え直して社内のみんなに発表した。うちはブランディング会社なのだからブランディングでグロースさせなきゃいけないと強く思っていた。今までの経験で、ブランディング会社でありながら、自社のブランディングがうまいなと感じる会社が少ないと思っていたこともあるし、やはりブランディングは競争優位性を高める手法なのだから、投資額が同じでも成長スピードを高めることができるのだ。それを使わない手はない。
SINCE.のブランディングを考えたとき、強みとなるのは競争優位性を高める戦略を提案できることであり、それを実際に制作に落とし込んで実現できることである。しかも他社にはない圧倒的なスピードが自慢だ。社長や事業のトップの側近となり、予算を預かって最大のパフォーマンスを発揮させるようにスケジュールや品質をコントロールしながら進めていくのがSINCE.のスタイルになりつつある。
であるにも関わらず、会社として考えた場合の先行きは別のことを考えていた。
ブランディングの強みを生かした新たなサービスを展開し、誰もが売れる状態に持っていくこと。そして、人が増えれば会社も大きくなるという上場しても魅力が出そうな会社の状態に持って行こうと考えていたのだ。これを先輩社長に話してみると、頭から否定された。そんなの無理だ、と言われてしまった。
考えていたサービスとは、例えば、コーポレートサイト制作にブランディングをセットにした商品だった。コーポレートサイトをリニューアルするとき、会社は転換期であることが多い。そうしたとき、会社のビジョンや事業内容、社長のメッセージなどが自社では定まっていないことが多いのだ。だが現状では、コーポレートサイトをリニューアルするとなると、web制作会社に頼むことになり、制作会社は制作をすることが仕事だから、基本的にはその定まっていない情報をもらって見た目を整えて出すことになる。SINCE.ならば、ビジョンをつくることも事業内容を整理することも社長メッセージを提案してつくることもできる。それをサイト制作とセットにしたら他社との差別化にもなるし、顧客に喜んでもらえる商品になるのではないかと思ったのだ。だが、この案はあえなく潰えた。その理由は、結局、ビジョンや事業内容の整理など付加価値としてつけようとしたものは、僕のような特定の人間でないとできることではなく、サービスの自動化など夢のまた夢だというのだ。それにそもそも僕が組織をつくるのに向いていないとも言われた。
ブランディングカンパニーSINCE.は一つのゴールに向かっている。それは最初から変わらないゴールである。そこにたどり着くためにどんな道があるのか常に考えていて、その一つのカタチがブランディングをサービス化させて会社を強くすること。そして上場の可能性すら感じさせることだった。それがいいと思ったのは、SINCE.で働きたいと言ってくれる人が増えてきたことや社内のスタッフがもっと生きる道があるのではないかと思ったからだ。
今にして思えば、それはブランディング視点の発想でも競争優位性を高める方法でもなかった。SINCE.の強みは競争優位性を高める戦略の提案と圧倒的なスピードによる実現である。マーケティングは投資であって、その投資効率を高めるのが強みであり、ミッションなのだ。改めてそこに立ち返り、ブランディングカンパニーSINCE.は、そこにフォーカスして爆進することを発表した次第である。
ブランディングが何かわかっていても別の選択をしてしまう。ブランディング会社がブランディングできない理由はこんなところにもあるんだろうなと思った。他人のことは良く見えるけど、自分は見えないのだ。ブランディングを自分ですることは難しいと改めて感じながら、アドバイスしてくれる先輩社長がいることを感謝した。