クーポンサイトの「グルーポン」は、日本のフラッシュ・マーケティングブームの先駆け的存在と言われている。もともとはアメリカ生まれの共同購入型クーポンを販売するサイトであり、日本では2010年6月に全国でサービスを開始した。
運営会社は、「グルーポン・ジャパン」。本社のGrouponは、2008年11月にシカゴで設立された。その成長スピードは凄まじく、創業2年で売上げが約300億円、利益40億円超という数字を叩き出している。そして、のちに日本のベンチャー企業「クーポッド」を買収してグルーポン・ジャパンとしたのである。
グルーポンの提供するサービスは、ユーザーがサイト上で地域やカテゴリーを指定してクーポンを検索し、欲しいものを見つけたら購入できるというシンプルなものだ。
ユーザー登録した顧客のもとには、毎日のようにサイト上やメールで当日のクーポン情報が届けられるが、それぞれのユーザー向けに選別されたほどよい情報量であることがマーケティングの成功を加速させた。クーポンには販売数や販売期間、さらには最低購入単位が設定されていたため、ユーザーにはクーポンを購入するために宣伝行動を起こす必然性があった。一方、グルーポンは成果課金型である。店舗にとっては、初期費用が発生することなく、多くのメリットを生む絶好の広告ツールであると言えるだろう。
こうして、グルーポンはサービス開始後すぐに国内最大級の人気サイトになったものの、同年のうちに販売したクーポンに関わる問題が勃発。最終的には、問題を引き起こした店舗が消費者庁から措置命令を受ける形で騒動は収束したが、グルーポン自体もサービス開始から間もないうちに、その信用性を疑われることになってしまった。しかし、そこからグルーポンはクーポンを販売する店舗の審査基準の見直しや審査部門の設置、店舗のサポートを担う専門部署を設置するなど、積極的な業務改善を行った。
騒動から3年後、品揃えの多様化や顧客体験の改善、モバイルの強化、体験型のクーポン商品の展開を柱としてビジネスを強化したグルーポンは、スマートフォン向けアプリの提供を開始した。その後、iPad版では世界12地域が利用地域に追加され、全42カ国で利用されるまでになり、今日に至っている。