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ブランドは、引力。
その引力は「ミッション」から発生する

CATEGORY : ブランディングを本に学ぶ

UPDATE : 2019.06.16

文責 : 山田歩

この記事のポイント

小さな会社にこそ、ブランドが必要

ブランドに必要なのは、ファンを惹きつける引力

使命に共感したお客さまがファン化する

小さな会社のブランド戦略
村尾隆介著 株式会社PHPエディターズ・グループ/2008年12月24日発行

小さな会社にこそ「ブランド」が必要

著者の村尾氏は、中小企業のブランディングにおける、日本のパイオニアのような存在として知られています。本書の発行も2008年と10年以上前ですが、中身は全く古さがないので、ぜひ一読をおすすめします。

村尾氏は、起業するときに、経営戦略と併行してブランド戦略を行うべきと主張しています。

「起業だ!経営だ!」と経営戦略ばかりを重視するのではなく、「さぁ、ブランドをつくろう!」といったようにブランド起点で起業した方がビジネスは上手くいくという理論の持ち主。ブランドの定義はいろいろありますが、村尾氏にとってのブランドとは「あなたのビジネスに関わるすべての人が、ファンになるような研ぎ澄まされた経営をしている会社」とのことです。

ブランドにはファンがつきもので、ファンのいないブランドは長続きしません。会社のファンをつくるというのは、中小企業にとって経営戦略そのもの。だから、起業する際にブランド戦略が同時に必要になるものなのだと著者は言います。

生き方と働き方を合致させる、ビジネスモデル

小さな会社には、ファンを惹きつける引力があります。その引力を生み出す原動力が「ミッション(使命感)」にあるとのこと。ミッションとは生き方であり、同時に働き方でもあるのです。

具体的には、事業を通じて、
「業界の、こんなところを変えていきたい」
「こういう顧客層に喜んでもらいたい」
「社会に存在する、あの問題を解決したい」
「この国を、少しでもこんな風に変えていきたい」等々。

このように会社の使命や、事業の存在理由をはっきりさせ、それを上手に世間に伝えていくことが、小さな会社のブランディングで欠かせない重要なプロセスとなります。使命感を持っている会社、使命感を持っている経営者、使命感を持っている従業員。確かに前向きで、モチベーションが高く、素敵な会社に思えて、お客さまもファンになりそうですよね。特に、「なんのために働いているか」が明確で、皆がいきいきと仕事をしている会社は輝くといいます。

地域やその業界でキラリと光る、企業事例を紹介

2章では、小さなブランドと呼ばれる企業8社を取り上げています。個人的に面白かったのは、有限会社ザリガニワークスという会社でした。「コレジャナイロボ」という子供向けのロボットを製造販売している会社です。

このような木でつくられたロボットで、子供用のプレゼント玩具です。その名の通り「これじゃない感」たっぷりで妙に愛嬌のあるロボットです(笑)。

小さな頃、ヒーローの名前を伝えて親におねだりすると、全く違うものをプレゼントされて「これじゃなーい!」と思った方も多いのではないでしょうか。

なぜザリガニワークスがこんなカッコ悪いロボットを売っているかというと、教育のためです。欲しいものはそんなに簡単に手に入らない、ということを子供に教育する。この使命に共感する親たちのあいだで売れているのです。子供はなんとか知恵を出し、「これじゃなーい!」を克服します。欲しいものは自分で手に入れよう。そんな教育玩具としてのブランディングにファンがついているのでしょう。

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