フリマアプリ「メルカリ」を運営する株式会社メルカリは、オンラインプロモーションによる地道なPRでユーザー数を着実に増やし、さらにテレビCMの実施でメルカリの認知度を高めることに成功していた。しかし、メルカリのことを認識していてもダウンロードしない層が多くいることが課題であった。
そこで同社は、10名以上のYouTuberを同時起用して、メルカリを使っている動画を撮影してもらうインフルエンサーマーケティングの戦略をとった。
ここでポイントとしたのは、メルカリのサービスの全体像を視聴者に見せること。実際に出品し、商品が売れた後にその売上金で商品を買うまでの一連の流れを動画で実演させたのだ。すると、インフルエンサー自身が私物を継続的に出品したことでインフルエンサーの私物を購入しようとするファンの動きが生まれ、再生回数は100万回を超え、アプリのダウンロード数も大幅に増加した。
しかし、それ以上に顕著だったのがダウンロード後のサービス利用率の高さ。サービス利用率は通常の広告経由でダウンロードしたユーザーよりも30%以上高い数値を記録。その理由のひとつに、通常の動画広告は動画を最後まで視聴する層は限られているが、YouTuberのファンは動画を最後までしっかりと見る傾向にあるため、サービスの魅力や世界観を十分に伝えられた点がある。
同社の施策は、インフルエンサーの私物が出品されることをフックに、さらにサービスの使い方ではなく、サービスを使ったことで起こる体験や行動を映像化したことに勝因があったと言える。