中古車販売と買取りのフランチャイズチェーンを展開する「カーセブン」。全国で100以上あるカーゼブンの店舗は、それぞれの地域の顧客層に応じて広告内容を変化させるエリアマーケティングを採用している。地域ごとの顧客分析を徹底的に行い、新聞折込広告やポスティングのエリア選定を行なっているのだ。
地域によって求められる商品の傾向が異なることは、珍しいことではない。車であれば、若い女性や高齢者が多く居住する地域に多人数乗車のミニバンを広告しても、効果が見込めない可能性が高い。また、逆の発想もある。カーゼブンは、販売を強化したい車種ごとに広告エリアを選定している。ミニバンを販売したければ、広告を打つべきはファミリー層の多いエリア。コンパクトカーであれば、独身層や若い女性の多いエリアといった形で、ターゲットとエリア、広告内容を最適化しているのだ。
地域特性を把握するためには、膨大なデータの収集とデータ処理能力が必要である。カーゼブンには、その作業を支えている自社開発のクラウドツールがある。顧客・商談管理システム「COREシステム」は、買取り一括査定サイトから送信される大量の顧客情報を自動で取り込むことができる。
また、タブレットで顧客からアンケートを集め、クラウドで集計するシステム「eアンサー」では、入力情報が即座にデータベースに反映される。このデータは個別の顧客への営業活動に繋がるだけではなく、来店客の情報をリアルタイムに集計、分析しマーケティングに活用することを可能にしている。
セグメントごとに広告を変化させる必要があるエリアマーケティング戦略では、クリエイティブの多様化が必要であるが、カーセブンのクラウドツールは、それらの対応をさらにタイムリーにしている。また、このシステムはカーライフビジネス向けのサービスとして同業他社にも提供されている。カーゼブンは、単なる中古車流通業者としてのみならず、ASP(アプリケーション・サービス・プロバイダー)としても存在感を発揮し、業界全体の活性化に一役買っているようだ。