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プライベートブランドを企業ロゴに採用!?
ZOZO社名変更のカギは“認知度”

CATEGORY : ブランドのデザイン

UPDATE : 2019.12.19

文責 : SINCE.編集部

ヤフーの子会社化、前澤氏の退任から遡ること1年前の衝撃

2019年9月12日、国内最大のファッションECサイト「ZOZOTOWN」を運営する株式会社ZOZOが、ソフトバンクグループ傘下ヤフーに買収されることが発表された。

1998年の創業以来、社長を務めてきた前澤友作氏が12日付で社長および取締役を退任し、世間を揺るがせたことは記憶に新しい。
 

そこから遡ること約1年。
 

株式会社ZOZOは、株式会社スタートトゥデイから社名を変更したことで、その時も少なからず世間に衝撃を与えていた。
 
 
 

スタートトゥデイという名前に込めた思いとは?

スタートトゥデイは1998年、前澤氏が実家の6畳一間で立ち上げた会社だ。

最初はCDやレコード、洋服の輸入販売から始め、ライブハウスなどでオリジナルのCDカタログを手渡ししたり、CDを手売りしていたそうだ。

スタートトゥデイは直訳すると「今日から始める」。前澤氏が敬愛するアメリカのハードコアバンド、Gorilla Biscuitsの楽曲「Start Today」に由来すると言われている。ちなみに本人も伝説のハードコアバンドSWITCH STYLEでドラムを叩いていた経歴を持つミュージシャンである。
 
 
毎日毎日が始まりで、毎日を大切に仲間と働き、社会の役に立とう
 
 
そのような思いを込めた社名であり、常に新しいことに挑戦し、仲間を大切にし、より良い社会を創ろうとする前澤氏にとって、とても大切な名前であったことは間違いない。
 

では、思い入れの強い社名を変えた背景にはどんな狙いがあったのだろうか?
 
 
 

プライベートブランドと企業の認知向上を一気に加速させる

一つの大きな理由としては、設立20周年の節目を迎え、プライベートブランド「ZOZO」の事業を本格的にスタートさせたことがある。商号とサービス名を一致させることでプライベートブランドの認知度向上を図ったのだ。

ちなみに、全国15~49歳の男女1051人を対象とした「ZOZOTOWN」と「スタートトゥデイ」に関する認知度調査によると、「ZOZOTOWN」の認知度は93.1%であったのに対し、「スタートトゥデイ」の認知度はわずか19.6%だったそうだ。

旧社名よりもサービス名の知名度が圧倒的に高いことも、社名を「ZOZO」に変えた理由だろう。

彼らは今後プライベートブランドを武器にグローバル展開を推進することを計画しているため、すでに圧倒的な知名度を誇る「ZOZO」という言葉で海外事業のスタートダッシュを成功させることを狙ったのだ。

なお、この「ZOZO」というワードは、新しい価値を生み出す「想像」と「創造」の行き交いを表現しているという。
 
 
 

なぜ、プライベートブランドのロゴをそのまま企業ロゴにできたのか?

社名変更に伴い、当然ながらコーポレートロゴも刷新することになる。
しかし、彼らはプライベートブランド「ZOZO」のロゴをそのまま採用したのだ。

このロゴには◯△□の図形が配置されている。それぞれ色も形も違うが、実は面積は全て同じなのだという。そして、タグラインには、「Be unique, Be equal」と書かれている。

このタグラインについて、同社はプレスリリースでこのように語っている。
 

人それぞれ、色もかたちも、得意なことも苦手なことも違うけれど、嬉しかったり、怒ったり、哀しかったり、楽しかったりするのは皆同じです。「みんな違うけど、みんな一緒(Be unique, Be equal)」というスローガンを掲げ、ZOZOグループは、世界中のすべての尊い個性がファッションで繋がる未来を目指してまいります。

 

もともと、プライベートブランドは「背も低く足も短いので、自分に合う服を探すのに今まで苦労していた」という前澤氏の悩みから生まれたもの。

「S」「M」「L」という既成サイズから「Y」(Your Size)へ。世界中の人々の個性を尊重し、誰もがファッションで笑顔になれる世界をつくっていく。

このプライベートブランドのコンセプトは、企業理念の「世界中をカッコよく、世界中に笑顔を。」とも見事に合致する。
 

企業理念にしっかりと裏打ちされたサービスだったからこそ、逆説的にサービスのロゴをそのままコーポレートロゴに活用しても違和感なく成立させることができたのだろう。
 

彼らはZOZOへの社名変更で認知度を爆発的に高めながら、「Be unique, Be equal」というスローガンでブランドイメージをアップデートすることに成功したのだ。
 
 
現在はいったん縮小傾向に方針を変えたプライベートブランドだが、ブランドと協業してサイズ展開を20〜50ほど用意する「MSP(マルチサイズプラットフォーム)事業」を推進するなど、「Be unique, Be equal」の精神に則った新しい取り組みに積極的に挑戦している同社。
 

前澤氏が残したスピリットが今後、どのように受け継がれるのか。彼が退任後に新しく立ち上げた会社「スタートトゥデイ」と共に注目していきたい。

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