ビッグなワッパーを象徴する「王様ロゴ」の誕生
1954年にフロリダで誕生したバーガーキング。言うまでもなく、今や世界トップクラスのファストフードチェーンだ。
初代ロゴが生まれたのは、1955年のこと。バーガーキングという社名に合わせて、大きなドリンクを持った王様がハンバーガーの上に鎮座するイラストをデザインした。
その姿から、彼らのロゴは「Sitting King」という愛称で親しまれるようになる。
当時からバーガーキングの看板商品は「ワッパー」。とてつもなく大きいという意味を持つワッパーはすぐさまアメリカ人の胃袋を掴み、王様のイメージとともに広まっていく。
創業後、早々にフランチャイズビジネスを進めていたバーガーキングは、1960年代に入るとアメリカ国内に250以上の店舗を展開。1969年には、オンタリオ州ウィンザーに最初の国際店舗をオープンした。
複雑な王様ロゴをシンプル化し、イメージを全国で統一
その年、彼らは10年以上親しまれ定着していた王様のロゴを刷新することを決める。
新しいロゴには、ひと目でハンバーガーショップだとわかるシンプルながら洗練されたデザインを採用。バンズの間にはパティをイメージした膨らみのある「BURGER KING」の文字を入れた。
バーガーキングの象徴だった王様を辞めた背景には諸説あるが、その中でも大きかったのが、各フランチャイズ店の看板にデザインされているロゴのフォントや色、王様の顔が違うという問題。中には店舗名すら違う場所もあったそうだ。
そのため、ロゴをシンプルにすると同時に、フランチャイズ店の外観も標準化。これまで統一されていなかった色やデザインを統一していった。このタイミングでコマーシャル広告も積極的に発信することで、人々はいつどこでもシンプルなロゴを目にするだけでバーガーキングを想起するようになった。
1994年、彼らはロゴをマイナーチェンジする。フォントをよりスタンダードで滑らかなラインのものに変え、実際のバンズのイメージに近づけるため、上のバンズを下のバンズよりも大きく描いた。
そして、1998年。30年以上親しまれてきたバンズロゴは再び姿を変えることになる。
「ブルークレセント」と呼ばれるそのロゴは、上下のバンズのサイズを小さくして輝かせ、勢いのあるブルーのラインを引いて、グローバル感を出すためにロゴ全体に傾きを与えた。
飲食店で寒色系の配色を使うことはあまりないが、それが逆に独自性となってロゴの認知度アップに貢献。このロゴは現在も使用され続け、すっかりお馴染みのマークとなっている。
世界70か国以上に展開し、アメリカ国内のファストフードチェーンの店舗数ランキングでも第3位になるなど、グローバル規模の大企業となったバーガーキング。その躍進の第一歩は、王様のロゴを辞めるという英断から始まったのだろう。