斬新な設定で大ヒット『100日後に死ぬワニ』
Twitterで話題沸騰中の『100日後に死ぬワニ』。
いよいよ100日目を迎えるということで、ネットではさまざまな感想や憶測が飛び交って大盛り上がりとなっています。
主人公ワニに平凡な日常を描いた4コマ漫画ですが、死ぬ日までのカウントダウンが付いているだけでこんなにも印象が変わるのかと、斬新かつ衝撃的な設定に驚きました。
そして、いろいろとインターネットで調べているうちに、思わぬところでラコステが話題になっていました。
【ラコステ】「100日後に死ぬワニ」を彷彿とさせる新作アイテムが3月19日に発売予定
「コラボかと思った」「これは狙いすぎwww」「むしろ、死後」といった反響が続々。100日目の前日に発売という偶然(?)も重なって、確かに何か狙いがありそうな気がしてしまいますね。
ところで、ラコステのロゴマークはどうしてワニなのでしょうか?
かなり見慣れたマークにもかかわらずその由来が謎だったので、ラコステというブランドについて、そしてワニである理由について調べてみました。
ラコステはポロシャツを発明したブランド
ラコステは1933年、フランスの元プロテニス選手であるルネ・ラコステによって設立されたファッションブランド。
今や世界中に知られる説明不要のブランドですが、彼らは創業時からセンセーショナルな存在でした。
なぜなら、ラコステはポロシャツを発明したブランドだから。
ラコステが生み出したポロシャツは、テニスウェアのみならずファッション業界に革命をもたらし、あっという間に世界を魅了しました。
名テニスプレイヤー ルネ・ラコステの偉業
時計の針を1920年代に戻しましょう。
才能あふれる若きテニスプレイヤー、ルネ・ラコステは、エレガントなプレイスタイルやフェアプレイの精神で人気を博していました。
ラコステが率いるフランスチームは「4銃士」と呼ばれ、当時デビスカップ7連覇を果たすなどして史上最強の名を欲しいままにしていたアメリカチームに果敢に挑戦。
2度破れたのち、1927年にようやくアメリカを破ったとき、フランス中が歓喜に沸き、念願のデビスカップはルーブル美術館に展示されるなどして、多くの人々の記憶に刻まれました。
ラコステ個人としてもこの時期にグランド・スラムを制覇し、世界ランキングの上位に君臨する活躍を見せます。
突然の引退、そして革新的なテニスウェアの開発に挑戦
しかし、1929年。ラコステは突然の引退宣言を発表します。
原因は諸説ありますが、結核を患っていた説が有力みたいです。ラコステは引退後、新たなチャレンジをスタートさせました。
彼は現役時代から、ボタン付きの分厚い長袖シャツを着用するテニスのスタイルが運動にふさわしくないと感じていました。
格式やエレガントさが求められるスポーツとはいえ、もっと動きやすいウェアが作れないか?
そんな疑問を持ちながら過ごしていたあるとき、ポロという馬に乗って行うスポーツの服装から素晴らしいひらめきを得ます。
その服装とは、やわらかな生地でできた半袖衿なしシャツ。これに襟とボタンをつければ、テニスの伝統的なマナーを乱すことなく実用的なシャツができるはず。
彼は早速、ルーズニット生地の専門家であるアンドレ・ジリエの協力を得て、最初のポロシャツのデザインを完成させます。
完璧を求めて改良を重ね、ついに理想のポロシャツが誕生
その後、通気性を追求して有名なピケコットンという生地を開発。完璧主義のラコステはさらにデザインに改良の余地がないものかとテストと試着を繰り返し、1933年にようやく納得のいくポロシャツができあがりました。
実用的でありながら、Tシャツよりもエレガント。スマートなルックでありながら、ドレスシャツよりもリラックスできて快適。
それは、これまでにない新しいファッションスタイルの誕生であり、まさに老若男女、誰もが着られるアイテムとして世界に衝撃を与えました。
テニスプレイヤーだけでなく多くの人たちに受け入れられることを確信したラコステは、初めての広告キャンペーンを機に正式にブランドを立ち上げ、ファッション界に進出。
業界のレジェンドとなる第一歩を踏み出したのです。
ラコステがファッション界にもたらした、もう一つの発明
ポロシャツの発明とともに、ラコステが起こした革命があります。
それは、ファッション業界で初めて、服の外側に堂々とブランドロゴをあしらったということ。
当時はブランドロゴといえば服の内側やタグに隠されているものでしたが、彼らは大胆にも左胸の上にロゴを刺繍しました。
2代目代表のベルナール・ラコステは「ラコステの本当のオリジナリティは、初めてロゴを服の表に出したことだ」と述べています。
今でこそ服の表にロゴを刺繍するブランドはたくさんありますが、これもラコステが生み出したアイデアだったのです。
ワニのロゴは、ラコステのニックネームから誕生した
さて、ロゴについての逸話が出たところで、いよいよ本題です。
どうして、ラコステのロゴはワニなのか?
実はこれ、ルネ・ラコステの現役時代のニックネームが「ワニ」だったことに由来します。
彼はある日、ワニ皮のスーツケースに一目惚れし、コーチに「試合に勝ったらこれをプレゼントしてくれ」と申し出ました。
結局その試合は負けてしまいましたが、そのエピソードを聞いたジャーナリストが、彼の食らいついて放さない粘り強いプレイスタイルと重ねて「ワニ」と表現したことが全ての始まりだったそうです。
彼自身もそのニックネームを気に入り、友人にワニのロゴデザインを依頼。1927年のデビスカップでワニのロゴを刺繍したブレザーで登場するなど、ラコステ創業前からワニのロゴへのこだわりが強かったのです。
それ以来、大きな大会で好成績を収めるようになったことから、ラコステ自身はゲン担ぎのつもりでポロシャツの胸にもロゴを刺繍したのかもしれません。
まさか、それがのちに一つのファッションスタイルとして定着するとは、本人もそのとき知る由もなかったでしょう。
ワニのロゴは時代を超えて受け継がれ、今もブランドの顔として堂々と左胸に刻まれています。今回の新作はTシャツ全面にいますが(笑)。
果たしてこのTシャツは売れるのか、『100日後に死ぬワニ』の結末とともに注目したいと思います。
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