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ブランディングってナンダ?1

CATEGORY : 今日の一筆

UPDATE : 2018.10.28

文責 : 一筆太郎

ブランディングとは何か?

広辞苑 第七版には、こう書かれている。

ブランディング 【branding】
企業などが、自社製品や企業そのものの価値やイメージを高めようとすること。
ブランド化。
 
 
ブランディングとは何なのだろうか?
ずいぶん前から疑問だった。広告会社で広告をつくっていたときにもブランディングという言葉は頻出ワードだった。クライアントからのブリーフには目的にブランディングと書かれていることもあった。広辞苑にあるように企業が製品や企業そのものの価値やイメージを高めようとすること、だとするならば、それはあまりに広い言葉で捉えどころがない。

 
 
これまでの僕の拙い経験では、ブランディングを儲けの手段と考える人よりもイメージをよくする(売上には貢献しない)という理解をしている人が多かったように思う。だからか、社長は「もう少しビジネスが安定したらブランディングにもチャレンジしたいんだけどね」と言い、デザイナーは「ブランディングをしてイメージを統一することが必要だ」と言った。
 
 
イメージを構築することがブランディングである。それがブランディングなのだろうか?
 
 
スティーブ・ジョブズは「ブランド」というワードを嫌っていたという。最も重要なのは人と製品との関係性だといい、社内ではdirty wordだった。
ブランドはテレビ広告やCMなど、人工的に作り出されたものと関連づけてしまう。そうではなく、人と製品の関係性がどうあるかに着目すべきだということで、アップルでは「ブランド」というワードは使われなかった。
 
ジョブズの理解では、ブランドとは、(まやかしの)イメージだということになるのだろう。実態のない人工的なイメージ。しかし、それはテレビCM優位の時代の話かもしれない。テレビは強烈なイメージを人々に植え付けていた。製品を体験してどうかではないところで生まれるイメージを忌み嫌ったのではないだろうか。
 
それにしても、ブランドといえばアップルであり、ジョブズはブランディングの神様と言えるような存在なのに当人がその言葉を嫌っているのもジョブズらしいと言えるのかもしれない。
 
 
 
P&Gはブランドにいち早く目をつけ、ブランディングによって大きな利益をあげてきた会社である。公式記録とされる『P&Gウェイ』によると、
 
 

P&Gは二十世紀前半、競争優位性を得るための不断の努力の結果、ついに競合他社を上回る成長を遂げることができた。別の言い方をすれば、蓄積してきた資源・能力を競合よりも上手に使う能力があったからこそ、P&Gは継続的に成長することができたのである。
 
もっと具体的にいうと、ブランドマーケティングという術を学習し、最終的には完全に会得したことにより、「競争優位性を獲得した」ことである。

 
と書かれている。ブランドマーケティングをブランディングと捉えてよければ、ブランディングは術(方法)だと言っている。そして、競争優位性を得るためのものだとも。
 
 
つまり、ブランディングとは、競争優位性を得るための方法ということになる。
 
 
これを見ると、どうやらイメージの構築だけではなさそうだ。

 
 
さらにマーケティング界の重鎮の言葉を引いてみる。
 
 
ブランディングといえば、デービッド・A・アーカーを抜きに語れないだろう。アーカーはブランド・アイデンティティの提唱者として知られ、1991年に『Managing Brand Equity(ブランド・エクイティ戦略)』を書いた。
 
アーカーは、ブランド・エクイティとはブランドないしはその名前とシンボルに結びついたブランド資産と負債の集合であり、製品やサービスに価値を加えたり減じたりするものであると定義している。
 
難しい・・・。簡単に言うと、生きたビジネス資産だということだろう。
 
このブランド・エクイティには
・ ブランド・ロイヤルティ(ファンになるか?)
・ 名前の認知(知られているか?)
・ 知覚品質(どう感じるか?)
・ ブランド連想(何を連想するか?)
・ その他所有しているブランド資産(それ以外のマークなど)
という5つがある。
 
アーカーはブランド・エクイティという言葉で、ブランドの価値を再定義した。
さらに、上の5つのカテゴリーからさらに10の測定尺度を導き出すことによって、
生きたビジネス資産としてのブランドを評価やマネジメントしやすくしたと言えるのだろう。
 
 
さて、ブランディングとは何なのだろうか?

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