コトラーは、「ブランディングというのは単純に広告キャンペーンと同等であるというのは時代遅れである。」と言っている。
広告キャンペーンとブランディングの違いを明確に言える人も少ないのかもしれない。
僕も広告業界にいたときは、広告とブランディングの領域はとても近いものだと認識していた。
だけど、どうやらこれらはかなり違うようだ。
ブランディングは日本では広告代理店が担うことが多い。これは世界的にも珍しいことで、欧米はもちろん、中国もブランディングはブランディング会社が行う。日本は長年代理店が業界を主導してきたこともあり、特異なカタチとなっている。だからか、ブランディングに対する理解もズレが生じているらしい。
P&Gは、ブランディングは競争優位性を高めるための方法だという。
広告が競争優位性を高めることもあるかもしれないが、
根本が異なっているように思う。
広告もブランディングもマーケティングの一ジャンルなのだろうが
それは、野球とサッカーが違うように、異なるのだ。
では改めて、ブランディングとはいったい何なのだろうか?
『ブランド戦略論』を書かれた田中洋氏によると、ブランドやブランディングという言葉は研究者や実務家の中で一致していないのだという。
de Chernatory & Rileyは、ブランドの理論を組み立てるためにはまず定義が必要だが、論者によって定義が大きく異なることに注意している。
(中略)
企業や組織内で「ブランド戦略」「ブランディング」という用語が語られるとき、それが何を指すのか不明確で困難や混乱が起こることも珍しくない。
ブランドやブランディングを語りたければ、自分で定義しろ。というわけである。これではブランドやブランディングの理解があやふやなのは当然のこと。先ほど日本は広告代理店主導だから特異なカタチと書いたが、それもまたブランディングなのだということになってしまう。
つまり、ブランディングとは何かといえば、俺のブランディングを語ることなのだ。
ちなみに、世界最大のブランディング会社だというInterbrandは、ブランドとブランディングを下記のように定義づけている。
「ブランド」とは、“living business asset”つまり、「常に変化するビジネスアセット(資産)」と定義される。
それは、あらゆる企業活動を通して生み出され、適切にマネジメントされれば、識別性(identification)と差別性(differentiation)と価値(value)を創出するものである。
したがって、
「ブランディング」は、あらゆるビジネス活動をマネジメントし、ビジネスアセットであるブランド価値を最大化することを目指す活動ある。
これもわかりやすいようなわかりにくいような話である。
じゃあ、僕はブランディングをどう定義するのか?
それが一番の問題だ。