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人の流れを変えるにはどうしたらよいか?

CATEGORY : 今日の一筆

UPDATE : 2018.11.02

文責 : 一筆太郎

僕はなんとなく明るい方に歩いてしまう癖がある。
  
それが目的とは全く別の方角だったりすると
「あなたはまるで虫ね」と笑われる。
  
自分でも笑ってしまうのだが、
ふと、僕は何を見て歩いてるんだろう?
と冷静になって考えてしまうことがある。
 
誰かと連れだって目的の店に行くとする。

そういうとき、まず僕は地図を見たりしない。
誰か案内役の人がその中にいて、
それが誰なのか目ざとく見極めてマークする。
そのあとはなんとなく
その人を感じて歩いていくのだ。
 
ふだんはそんな体たらくなのだが、
もっとひどい時はみんなが曲がるのをお構いなく
ふらっと明後日の方に行ってしまうことがある。
どうやらそれが明るい方のようなのだ。
    
  
 
調べてみると
動物には走性という生まれつき持った性質があるらしい。
 
たとえば
ミドリムシは光を当てると
光の方へ動き出す。
 
愛媛県には「すくいちりめん漁」という
漁法があって90年近く行われている。
水中に光を当てると
カタクチイワシの稚魚が集まってきて
それをすくい上げるのだ。
 
イワシは光に向かう性質があり、
昔の人も動物の行動の性質を知っていて
それを利用することでより豊かな生活を目指してきたようだ。
  
僕が光の方へ歩いてしまうのは
決して僕に問題があるわけではなく
動物としての性質だったのだ。

 
 
  
今日、軽井沢に続いて東京でも
人の流れを変えたいという要望を受けた。
  
たくさんの人がそのブランドの敷地脇を通るのだが
見向きもされないのだという。
 
坂の上には水族館があって、
カップルや家族連れがたくさん降りてくる。
水族館に満たされて、次は腹を満たそうか?
満足できなかった人たちは
次の刺激を求めて降りてくる。
 
降りてくると見えるのは
パラソルが印象的なオープンカフェだ。
それがあるだけでなんとなくパリのような雰囲気を醸し出すのだろう。
自然とカップルは吸い込まれるように流れていく。
 
カフェがある建物には飲食店がいくつも入っている。
マクドナルドなんかもあって、
子どもを連れた家族にはたまらない。
その先に駅があることもあり、
帰る道すがら腹も満たせるという最高の環境なのだ。

 
 
そんな状況の下、僕が受けた相談は
夜、坂道を下ってちょうどパラソルが見えた人たちを
くるっと明後日の方に向かわせる方法なのだ。
 
さあ困った。
焼き芋屋さんに来てもらったり鰻を焼かせるわけにもいかない。
屋外だから映像系の機材の設置も困難。
 
そこで、光。
 
これは走性がヒントになるのかもしれない。
 
きっとイルミネーションや夜景、ダイヤモンドなどの宝石の輝きを
人が好きなのも走性と関係があるはずだ。
 
僕のような人がどれだけいるのかわからないが
光に誘われる人は多いだろう。
 
人の流れを変えるのに
光の道をつくって誘導させるというのは
どうだろうか。

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