カテゴリーキラーとは、ある特定の分野において、圧倒的な商品数と低価格化を武器に勝負するブランドのこと。
直訳すると「カテゴリーの殺し屋」である。カテゴリーキラーの出現によって、競合他社の売上高が大きく減少し、同カテゴリーからの撤退や縮小に追い込まれることからこう名付けられた。
カテゴリーキラーはブランドイメージを構築しやすく、業界トップの座を勝ち取れる可能性がある一方、高価格帯や他カテゴリーへの切り替えが難しく、新しく現れたカテゴリーキラーとの価格競争に巻き込まれるリスクもある。
業界で生き残るためには価格以外の付加価値を生み出すか、出店と閉店を繰り返すだけの資金や人材を保持し続けることが必要だ。
GU:GU:ユニクロのライバルたちに価格競争で勝ち、
ユニクロのブランド力を守った
ファーストリテイリングのGUは、言わずと知れたカテゴリーキラーのブランドである。
ブランド誕生の背景には、既存ブランドのユニクロをめぐる競合他社との競争の激化があった。
ユニクロもかつてはカテゴリーキラーとして業界に参入し、「品質良く、安く」のコンセプトでダイエーやサティなどの競合を脅かしていた。
しかし、時代が変わるにつれて大手スーパーをはじめとする競合が低価格化を推進し、価格の面ではユニクロよりも大きなインバクトを持つようになる。
そこで、ユニクロを価格競争から守るために生まれたのが、GUだったのだ。
GUは全国への店舗展開を積極的に推し進め、毎年40店舗以上の新規オープンを実現。さらにスクラップ&ビルドの精神で開店と閉店を繰り返し、最適な配置や効率化を追求。そして、「990円ジーンズ」をはじめとするセンセーショナルな価格設定によって一気にトップの座へと上り詰めたのだ。
GUがカテゴリーキラーとして低価格競争に勝利してから10年以上の月日が過ぎた。
今、GUのブランドイメージは変容している。低価格であることはもちろんだが、トレンドファッション、安心品質、自由といったイメージで、10代〜20代を中心に根強い支持を得ている。
そう、GUはブランドのイメージをスイッチさせることに成功していたのだ。
価格競争で高利益を生み出し続けるのは至難の技。価格以外の新しい付加価値を生み出すことが、カテゴリーキラーが生き残るうえで重要なのだと言える。