差別化戦略とは、マイケル・E・ポーター(MichaelE. Porter)によって提唱された競争戦略の1つ。
ひとつの市場における製品やサービスについて、基本的な機能は同じであっても、デザイン面での付加価値やブランドイメージ、顧客サービス、プロモーション活動などによって、競合他社より優れていることを強調し、差別化を測ることで競争優位性を獲得する戦略のことを指す。
差別化は競争における基本的な戦略であり、多くの企業がこの手法によって成功を収めている。
トリンプはユニークなネーミングやコンセプトで尖り、メディア露出度を高めて成功
1886年にドイツで設立され、現在はスイスに本社を置いて
世界最大規模の女性用下着メーカーの地位を確立しているトリンプ。
1994年には日本に上陸し、その高い開発力でワコールに次ぐ業界2位の座を獲得した。そんなトリンプが取った戦略は商品企画による差別化である。
従来、ブラジャーは機能やつけ心地、ボディラインの美しさなどを訴求ポイントにするが、トリンプは「天使のブラ」「恋するブラ」といったネーミングのユニークさをフックにした。大ヒット商品となった「小悪魔ブラ」は見た目を重視。また、Tシャツブラやワンピースブラなど用途を特化したことで独自の路線を築いていった。
さらにトリンプの名を知らしめたのが、巧妙なプロモーション活動である。彼らは非売品のPR専用ブラを次々に開発。選挙を盛り上げる「投票率UP! ブラ」やサステナブルな社会を目指す「マイ箸ブラ」など、メディアの話題になりやすいブラを作ってブランド認知度を高めた。今ではすっかり社会に馴染んでいる「ノー残業デー」を広めたのもトリンプである。
独自路線の商品開発と圧倒的なメディア露出量。これらの差別化によってトリンプのユニークでチャレンジ精神に満ちたブランドイメージが醸成され、のちにファーストリテイリングが業界を席巻するまでは、数ある競合を押しのけて業界2位の座を不動のものにし続けたのである。