ダイレクトマーケティングは、アメリカのダイレクトマーケティング協会(DMA)の定義によれば「一つまたは複数の広告メディアを使って、測定可能な反応あるいは取引をどんな場所でも達成することのできる双方向のマーケティングシステム」のこと。
もう少し噛み砕くと、紙やWeb、メール、電話など様々な広告メディアを使い、個別のターゲットと直接的に双方向のコミュニケーションを行うことで、取引を成立させることはもちろん、顧客の反応を測定して次のプロモーションにつなげるようなマーケティングシステムのことを指す。
ダイレクトマーケティングは企業が小売業や卸売業、広告代理店など、中間業者を通さずに見込み客や顧客と直接コミュニケーションが取れるマーケティング活動と評されることもある。さらに、ターゲットの購買行動をはじめとする様々な個人データを企業側で蓄積できるため、より効果的かつ効率的なマーケティング活動に生かすことができる点もメリットだ。
費用対効果が高く、効果検証がしやすい、PDCAサイクルを回しやすいといった利点がある反面、軌道に乗るまで時間を要するケースや、反応の良い広告がすぐに劣化するケースもあるため、最適なプランを導き出すための試行錯誤や定期的な効果検証が成功の鍵を握るマーケティング活動と言えるだろう。
メットライフアリコ生命保険:Webサイトでフォローできない顧客ニーズをフリーダイヤルでフォロー
アメリカ発の総合保険会社「メットライフアリコ生命保険」は、保険代理店や銀行のほかに通信販売などさまざまな販売チャネルを持ち、商品ラインナップが幅広い点も特徴的な生命保険会社である。
同社は通信販売における申し込みプロセスを見直し、効果的なダイレクトマーケティングを構築することで保険商材の成約率を2倍に向上させたという。
従来、彼らはターゲットをWebサイトへ集客して対象となる商品を訴求し、次に見込み客から資料請求を受けて資料を郵送、同封の申込書に必要事項を記入して返送するといった販売フローで運用されていた。
しかし、このフローだけではカバーできないターゲットが大勢存在し、彼らは集客したサイトから離脱していることを発見する。これらの層のサイト来訪時のモチベーション低下を回避するために打った対策は、サイト内にコールセンターのフリーダイヤル番号を表示すること。そして、電話をかけてきた顧客の必要とする商品設計をオペレーターが支援するように変更した。そうすることによって、顧客の購買意欲を高めることに成功したという。
また、資料請求をしてもらってから資料を郵送するまでの時間を活用して、フォローコールをかけるというダイレクトマーケティングを実施。
こうした取り組みによって顧客の不満を解消し、同社の成約率は倍増したのだ。
Webサイトの資料請求への誘導だけではカバーできない部分を、フォローコールで支援するという「テレマーケティング」を活用した企業事例といえる。
ダイレクトマーケティングにおいても、インターネット広告だけでなく、従来からある電子メールやテレマーケティングをうまく組み合わせることで、より成果が現れることをこの事例は示している。