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【ダイレクトマーケティングの成功事例】DM配信はタイミングが命

CATEGORY : ブランディング成功事例

UPDATE : 2019.01.20

文責 : 一筆太郎

この記事のポイント

ABSA銀行:計画停電のタイミングで家庭用発電機の購入を促すDMを送付して成功

ダイレクトマーケティングとは、アメリカのダイレクトマーケティング協会(DMA)の定義によれば「一つまたは複数の広告メディアを使って、測定可能な反応あるいは取引をどんな場所でも達成することのできる双方向のマーケティングシステム」のこと。

もう少し噛み砕くと、紙やWeb、メール、電話など様々な広告メディアを使い、個別のターゲットと直接的に双方向のコミュニケーションを行うことで、取引を成立させることはもちろん、顧客の反応を測定して次のプロモーションにつなげるようなマーケティングシステムのことを指す。

ダイレクトマーケティングは企業が小売業や卸売業、広告代理店など、中間業者を通さずに見込み客や顧客と直接コミュニケーションが取れるマーケティング活動と評されることもある。さらに、ターゲットの購買行動をはじめとする様々な個人データを企業側で蓄積できるため、より効果的かつ効率的なマーケティング活動に生かすことができる点もメリットだ。

ABSA銀行:計画停電のタイミングで家庭用発電機の購入を促すDMを送付して成功

南アフリカの電力会社ESKOM社では、電力の需要が供給を上回ったことで平均分配が実施された。これにより、ハウテン州郊外の家庭では、計画停電を余儀なくされることになる。

南アフリカで主要銀行の1つであるABSA銀行の住宅ローン部門は、この状況を既存顧客へのセールスチャンスと捉え、債券勘定の公債を利用して家庭用発電機の購入ができることをDMで伝えることにした。

DMのタイミングは、ESKOM社が計画停電を発表したのと同時に行われた。彼らが各世帯にアプローチしたメッセージは「暗闇に残されることはなかったのに」。すでに停電を経験した地域の世帯にとって、このメッセージは非常にシンプルでわかりやすいものであった。

封筒は黒を背景に白い文字で、暗闇に光があることで、どれほど生活に違いがでるのかを象徴したものであった。

ダイレクトメールは18,333人に郵送され、そのうち1,194人から何らかのレスポンスがあり(6.51%)、さらに636人がABSA銀行を利用した。コンバージョン率は、驚異の52.26%。キャンペーン費用が約70万円なのに対し、売り上げは約29億3,000万円を達成。ROIにすると1:4,175と驚異的な数値を住宅ローン部門は記録したのだ。同行は当初の目標を約10億円としていたため、目標の272%を達成したことになる。

ダイレクトメールのクリエイティブ自体はいたって普通のもので、見た目も内容もありふれたものに感じるかもしれない。しかし、受け手にとって本当に必要なことが適切なタイミングで提案されたことによって、大きな成功を手にすることができたのだ。需要と供給が合致したときのパワーをこの事例は教えてくれる。

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