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営業のいない生命保険会社【ポジショニング戦略の成功事例(10)】

CATEGORY : ブランディング成功事例

UPDATE : 2019.02.10

文責 : 松山響

この記事のポイント

ライフネット生命:営業なし、特約なし、手数料公開で生保に対する消費者の負のイメージを払拭

ポジショニング戦略とは、商品やサービスについて独自の優位性を持つポジションを築き、ターゲットとなる顧客の頭の中に差別化されたイメージを植え付ける戦略のこと。

簡単に言えば、市場における自社製品(サービス)の立ち位置を戦略的に決めることを指す。

すでに成熟しているかのように思える市場であっても、競合分析や消費者の潜在的ニーズを綿密に掘り起こしていくと、まだ誰も手をつけていない鉱脈に辿りつく可能性はある。

ライフネット生命:営業なし、特約なし、手数料公開で生保に対する消費者の負のイメージを払拭

生命保険会社のライフネット生命は、インターネット専業の保険会社というポジションを築いて成功した企業である。

どうして、インターネット専業が成功したのか。そこには、保険に対する消費者のネガティブなイメージが関係している。

従来、生命保険会社といえば営業職員による販売活動が中心となっていた。なぜこのような営業職員を必要にしているかというと、保険に対してニーズを感じていない層が多くいるため、そのニーズを生み出し購入に結びつける必要があるからだった。

それに対し。ライフネット生命が打ち出した戦略は以下のようなもの。

(1)営業職員を雇わずに、そのぶん商品価格を下げた
(2)保険の特約を廃止し、不明瞭な保険の料金設定に対する消費者の不安を取り除いた
(3)手数料を公開した

このように、保険に対するネガティブ要素を丁寧に取り除くことで消費者からの信頼を勝ち取り、
実際に営業職員を持たないことで価格が下がったため、他社よりもお得なイメージを醸成できた。

この戦略が優れているもう一つの点は、ライバルである生命保険会社が真似しにくいということ。
実際、ライフネット生命の戦略を他社がやろうとしても、既存の営業職員を解雇するのは難しく、特約は収入源だったため特約をなくすと利益が減ってしまい、手数料を公開すると営業コストが高いことが消費者に知られてしまう。既存の生命保険会社がやりたくないことを、ライフネット生命は徹底的に突いた。

この結果、ライフネット生命はライバルの追随を許さない独自のポジションを獲得することができたのである。

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