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「らしさ」を言葉ではなくイメージで教育する【インナーブランディングの成功事例(2)】

CATEGORY : ブランディング成功事例

UPDATE : 2019.02.17

文責 : 松山響

この記事のポイント

無印良品:経営層に著名なデザイナー陣を配置し、強固なブランドイメージを社内に浸透させた

インナーブランディングとは、「社内へ向けたブランディング」のこと。自社で働く社員やアルバイトなどのスタッフに、ブランドの理念や企業が進もうとしている目標、ブランドの価値などを知ってもらい、社内外の様々な効果につなげる施策である。

実際にどのような戦略と効果があるのだろうか。成功事例を見てみよう。

無印良品:経営層に著名なデザイナー陣を配置し、強固なブランドイメージを社内に浸透させた

無印良品を手がける良品計画は、クリエイティブなブランド形成に力を入れている。その最たるものが、「アドバイザリーボード」という制度。外部パートナーという形で経営をサポートするポジションに著名なデザイナーを迎え、彼らが商品企画やビジョンなどの形成に関わっているという。

その面々は、かつては田中一光氏が在籍し、ほかにも原研哉氏や深澤直人氏、小池一子氏など日本を代表するデザイナーの名が連なる。

無印良品の店頭には、彼らの厳しいフィルターを通過した商品だけが並ぶ。実は商品に統一されたデザインコンセプトはなく、ナチュラルカラーや自然素材が比較的多くはなっているが、厳密にそれを用いる定義などは存在しない。しかし、同ブランドが大切にする「生活美学」がプロダクトに表現されているか、抽象的なものを視覚化するプロであるアドバイザリーボードのメンバーによって厳選されているのだ。

その結果、無印良品の世界観は見事に統一され、特別な教育制度などはなくても、社内に暗黙の空気感が共有されているという。明確な定義はないけれど、明確なイメージはある。言葉にはない「無印良品らしさ」を社員一人ひとりが理解しているため、それが商品企画から店づくりから接客サービスまで、ブランドの至るところに反映され、ブランドらしさは力強く育っていく。

今や、一般の消費者の中にも「これは無印っぽいよね」というイメージの共通認識があるのではないだろうか。ブランドの社会的認知をこのような状態に持っていくことこそが、インナーブランディングの一つの到達点と言えるだろう。

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