ポジショニング戦略にはいくつかの方法がある。
例えば、「対抗」型ポジショニング。これは、市場におけるトップや競合に対抗するポジションをとることだ。
「でない」型ポジショニングというのもある。これは、その市場の代名詞といえるようなブランド「ではない」場所にポジションをとること。
他にも型はいろいろあるが、これらは市場の穴を狙ったポジショニング発想だ。今や市場に穴を見つけることは難しい。そこで登場するのが、ライバルのポジションを崩すという発想である。
アスピリンのポジションを崩して成功 〜鎮痛剤No.1のポジションをとる!
市場でトップを走っていたアスピリンのポジションを崩したのはタイレノールというブランドだった。
タイレノールは、広告で「アスピリンを服用すべきでない何百万人の方のために」と訴えたのだ。「すぐに胃が荒れてしまったり、潰瘍があったり、喘息やアレルギー、鉄欠乏性貧血がある方は、アスピリンを服用する前に医師の診断をあおいだほうがいいでしょう。」とアスピリンのウィークポイントをほのめかす。さらに、「アスピリンは、胃の粘膜を荒らしたり、喘息やアレルギー反応を引き起こすことがあります。また、胃腸に微出血を起こすこともあります」と直接アスピリンの問題となる点を指摘する。
そして、「でも、幸いなことに、タイレノールがあります・・・」という形で広告は展開される。
これでアスピリンの不動のポジションは崩されたのだ。
Facebookはmixiのポジションを崩して成功 〜SNS No.1のポジションをとる!
2009年はまだmixiが圧倒的な状況だった日本。だが、その数年後、Facebookはmixiを完全に凌駕した。Facebookは大量の機能を追加したが、ユーザーの獲得数増大につながっていないことなど、さまざまなデータ検証の結果、2年間新機能の開発をストップして「登録から10日以内に7人以上の友人と繋がる率」をKPIに設定。KPIの達成にフォーカスした。一方でmixiは機能追加に邁進したのだ。
また、mixiは趣味用途イメージが強かったが、Facebookは仕事など日常のツールとしての利用を促進された。生活の一部に入り込むことで辞めづらい状況をつくったといえよう。
Facebookはmixiを対抗馬としながら、戦略によってポジションを崩すことに成功したのだ。