パス・トゥー・パーチェスとは、カスタマージャーニーにおける購買までの道のりを示したもの。
特定の商品やサービスに対し、消費者「認知する」ことから始まり、それを「知識」として蓄える。次に「好感」を抱いたり、「選考」するという感情が生まれる。そして、「確信」して「購入」に至るという行動が実現する。このような「認知→知識→好感→選好→確信→購入」の順番が顧客体験を分析する上で重要視されている。
「パス・トゥー・パーチェス」という言葉を用いて顧客体験を細かく分析しているのが、ジョンソン・エンド・ジョンソン コンシューマー カンパニーである。
彼らは何が行動のトリガーとなるのか、あるいは行動の障害になるのか、パス・トゥー・パーチェスの一つ一つを分析しながら、緻密なマーケティング戦略を展開している。
その顕著な成功例が、赤ちゃん向けの入浴グッズをラインナップしている「ジョンソン ベビー」だろう。同社はターゲットである母親について、子どもが生まれる前から生まれた後までの長期的な視点でパス・トゥー・パーチェスを描いている。
つまり、妊娠がわかった喜びの瞬間からはじまり、お腹が大きくなるにつれて赤ちゃんに関する情報に興味を持ち始める。様々な方法で情報収集をする中で、妊婦がもっとも信頼している情報ソースは何か?やがて赤ちゃんが誕生したとき、初めての入浴はどこで行われるか?こうしたブランド接点をつぶさに調べていくと、重要なタッチポイントとなるのは産婦人科であり、医師や看護師であることが浮かび上がる。母親は出産の過程で医師や看護師の情報を信頼し、院内で使われているものをよく観察している。
そのため、ジョンソン ベビーは消費者向けのPR戦略のみならず、医療関係者向けのPR戦略にも非常に力を入れ、多くの産婦人科に自社の商品を採用してもらうことで、非常に効率よくターゲットとのブランド接点を構築することに成功しているのだ。