BASEは誰もが簡単にECサイトを作成できるサービス
Web上で簡単にECサイトを制作できるプラットフォームサービス「BASE」。
2012年にリリースし、2年半程度で約17万店舗もの登録数に到達したことで大きな話題を呼んだ。
その後も順調にサービスは成長を続け、2019年2月には登録数が70万店舗を突破。同社の調査によれば2年連続でネットショップ利用実績No.1に選ばれたという。
BASEといえば、創業者の鶴岡裕太氏がリリース時に大学生だったことも話題となっていた。そして、このサービスはたった1人の人物のために作られたという。
BASEは創業者の鶴岡さんがお母さんのためにつくった
その人物とは、鶴岡さんのお母さんである。
当時、ハイパーインターネッツ社でCAMPFIREなどのプロダクトを作るエンジニアのインターンをしていた鶴岡さんは、母親から言われた「ネットショップをやってみたい」の一言からネットショップのサービスを作ってみようと思い立つ。
鶴岡さんのお母さんは、大分県で婦人服の小売店を営んでいる。ネットに詳しいわけではなく、運営コストもかけられない。そう考えると、当然難しい機能はNGで、どの機能も出来る限り少ないクリック数で完了させる必要がある。
「お母さんの手間を減らす開発」が常に頭の中にあった。どんなに新しく画期的な機能を思いついたとしても、「お母さんが使えないのでは?」と思ったものは採用しなかった。
さらに、登録後30〜1分程度でショップを開設できるスピードにもかなりこだわった。それ以前のネットショップ開設サービスは決済の都合で2〜3週間も開設まで時間を要していた。しかし、お母さんは2〜3週間空くと飽きてしまう。せっかく登録までしてくれたのに離脱させるのはもったいない。
すぐに開設する喜びをお母さんに味わってもらえるよう、開設スピードに注力したのだ。
「機能をつけない」「成長させない」という基本を徹底
当初は母親のために作ったサービスだったので、事業化することは想定していなかったという鶴岡さん。しかし、リリースしてみるとネット界のビッグネームに取り上げられたこともあり、すぐに数千人規模のユーザーが集う結果に。個人で対応しきれない事態になったことから慌ててリリース翌月、BASE株式会社を立ち上げたのだそうだ。
お母さんの背後に大勢いた、ネットに詳しくない人たちの心を見事に射止めたBASE。
同社のその後の成長は先述した通りである。その後、サービスがどんどん拡大していく中でも、慣れ親しんだ操作や画面が変わることのないよう「機能をつけない」「成長させない」という基本を徹底し続け、日本を代表するネットショップのサービスとなったのだ。