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【One to Oneマーケティングの成功事例】顧客が喜ぶクーポンを見つける方法

CATEGORY : ブランディング成功事例

UPDATE : 2019.07.31

文責 : 一筆太郎

この記事のポイント

一人ひとりにパーソナライズされたクーポンを発行

POSデータからユーザー行動を抽出し、クーポンの精度を高める

データマイニングソフトの導入で、大量のPOSデータの迅速な処理を実現

One to Oneマーケティングとは、すべての消費者を対象とした画一的なマーケティング活動ではなく、顧客一人ひとりの購買行動や行動履歴などの情報をからニーズを探り、個別に展開するマーケティング活動のことを指す。

インターネットの普及により、情報量が急激に増加した現在の社会において、消費者のニーズは多様化している。すると、マスマーケティングのような均一なアプローチだけでは大きな成果を得ることが難しくなっている。そこで重要になってくるのが、顧客一人ひとりに合わせてカスタマイズしたアプローチを展開するOne to Oneマーケティングである。

One to Oneマーケティングでは、企業が各種データから個別の情報を読み取り、それぞれに最適なチャネルを使って、最適な情報を提供するコミュニケーションを行う。こうした活動により、顧客と良好な関係性を構築していくことでロイヤルティを高め、顧客生涯価値(LTV)を向上させることを最大の目的としている。

その中で企業は、顧客の情報をいかに収集・蓄積し、いかにそのデータを活用していくかのかが重要となる。自社のスタンスや目的に合わせて、新しい技術やツールも取り入れながら、最適な顧客コミュニケーションをとることが、成果をあげる近道だと言えるだろう。

ファミリーレストラン「ガスト」を全国展開する「すかいらーく」は、2014年に「ガスト」公式アプリをリリースした。

公式アプリのメイン機能のひとつが、ユーザーの来店を促すクーポンの発行である。このクーポン、実はユーザーの年齢や性別、居住地、家族構成などによって内容が異なる。ユーザーアカウントに登録された一人ひとりの情報をもとに、パーソナライズされたクーポンが発行されているのだ。

仮に子どもがいる主婦であれば、子どもの年齢に応じたセットメニューのクーポンを配布。また、前回の来店日からクーポン発行のタイミングを計り、未成年にはアルコール関連のクーポンは配布しないなど、ユーザーのさまざまな条件に合わせたクーポン配布を実現している。このアプリは、リリースから約6カ月で300万ダウンロードを達成するほどのスピードでガストの顧客に浸透した。

こうしたパーソナライズされたクーポンの配布には慎重さが求められる。クーポンの内容とターゲットとなるユーザーがマッチングしなければ、ユーザーの来店行動に繋がらないばかりか、アプリや企業そのものへのマイナスイメージに繋がりかねないからだ。

すかいらーくは、このマッチングの精度を上げるために、配信するクーポンの選定にPOSデータを活用している。POSデータとは、店舗のレジデータを蓄積したもの。そこから来店客の行動データを綿密に分析し、POSデータとアプリユーザー情報の紐付けに成功した。

これにより、アプリユーザーのニーズに合う最適なクーポンを配信するロジックを確立したのである。クーポンの効果もあって、すかいらーくは2014年上半期の決算で、前年に対して広告宣伝費を約10%以上削減したうえで、約3%の売上げ拡大を実現したという。

さらに、すかいらーくは、このPOSデータの分析のために新たにデータマイニングソフトを導入した。膨大な情報を含むPOSデータをより迅速に処理することが可能になり、One to Oneマーケティングの効果増大を推し進めているのだ。

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