アメリカのLyft社は、ライドシェアサービスを主軸に事業を展開する企業。
ライドシェアが一般化しているアメリカとカナダにおいて、Uber最大のライバルとされている新進気鋭の企業だ。
同社が掲げるミッションは、
「Improve people’s lives with the world’s best transportation(世界最高の交通手段で人々の生活を改善する)」。
アメリカでは主要な移動手段として欠かせない車だが、車を所有するコストは住居に次いで2番目に高いと言われている。
そこに目をつけたのが、共同創業者であるグリーン氏とジマー氏。もともと彼らは、Zimrideというサービス名で大学や企業向けにライドシェアサービスを提供していたため、そのノウハウを生かして一般消費者向けのライドシェアサービス「Lyft」を始めた。
なお、Zimrideは2012年のLyft立ち上げ後、2013年にEnterprise Holdingsへと譲渡している。
彼らは一般消費者向けのライドシェアに選択と集中を行なったのだ。
ライドシェアサービス市場では、成長めざましいUberが強力な競合企業として君臨しているが、Uberとの明確な違いは事業ポートフォリオにある。
Uberが一般の車を活用してライドシェアのみならず、デリバリーや物流に事業を展開しているのに対し、Lyftはあくまでも「交通」に特化しているのが特徴。
上述したミッションを実現することにフォーカスしているのがLyftの事業なのだ。
2018年、Lyft社は利用者数が2016年から5倍増の1860万人に到達。乗車回数も6倍増の1億7840万回、1回あたりの平均売上単価も2倍強の36.04ドルを記録し、Lyftの需要増加と人々への浸透が加速していることがわかる。
さらに、安定した交通手段を提供することのみにフォーカスしたシンプルなサービスであることも相まって、Uberほどのトラブルや騒動は起きないため、企業としての信頼度は急速に向上した。
こうした背景から、2019年3月にNASDAQに上場した際は、公募価格が72ドルだったのに対し、初値は87.24ドル、終値も78.29ドルと好調のスタート。
同社はIPOによって、予想を上回る23億4000万ドルを調達し、時価総額は約220億ドルに到達した。
非公開企業としての同社の推定評価額である150億ドルを大幅に上回る成功を収めたのだ。