AMTULとは、Awareness(認知)、Memory(記憶)、Trial(試用)、Usage(本格的使用)、Loyalty(愛用)の頭文字をとった消費者の購買プロセスのこと。
AIDMAが短期的な購買プロセスをモデル化したものに対し、AMTULは長期的な購買プロセスをモデル化している。
認知→愛用のプロセスを実現させる秀逸な仕組み
「ダイレクト出版」は、リスティング広告を利用したマーケティングを積極的に行い、おもに書籍を販売する企業である。彼らは質の高いビジネス書を取り扱うことで知られている。
そして、彼らはAMUTLの各段階に応じた施策を行うことで、順調に売り上げを伸ばしている企業とされている。
アフィリエイターへの手厚い報酬で「認知」を拡大
ダイレクト出版のリスティング広告は、効果的に書籍の「認知」を上げるための施策である。それだけでなく、報酬を高めに設定したアフィリエイト制度を導入している点にも注目すべきだ。
彼らはアフィリエイターに対して頻繁にメールを送り、報酬額の増額や5冊販売するごと、10冊売るごとに別途1万円をプレゼントするキャンペーンなど、アフィリエイターのモチベーションを保つための取り組みを活発に行っている。
アフィリエイターによって、ダイレクト出版の書籍に関する情報が積極的に拡散され、消費者の「認知」を広げる仕組みを作ったのだ。
LPはターゲットを経営者に絞り、強烈なコピーで「記憶」させる
次に、こうして多くの人に認知された書籍を「記憶」してもらう必要がある。そのための重要なツールの1つが、ランディングページだ。
ダイレクト出版が展開するランディングページでは、企業経営者に的を絞ったキャッチーなコピーが並び、サイトに訪れた人へ強烈なメッセージを投げかけることでターゲットの「記憶」に残る工夫をしている。
書籍としては異例の「返品保証」で「試用」させる
ここまでくれば、見込み客のその書籍に対する関心は充分に高まった状態だ。
しかし、購買行動に至るまでには大きな壁がある。興味はあっても、見込み客が「購入」という行動に移すにはやはり不安や迷いが残るのである。
そこで、ダイレクト出版が見込み客の購入に対するハードルを下げるために行っているのが「30日間完全保証」だ。一般的な書店では読み終わった本を返すことはもちろんできないが、ダイレクト出版で購入した書籍は読んで満足しなかったら返すことができるという。
本の内容に自信があるからこそ出来る「試用」の仕組みである。
購入者に関連書籍とアフィリ制度を訴求し、「本格的使用」から「愛用」へ
このようなプロセスで購入にまで至った顧客は、商品である書籍にもサービスにも満足しているためリピーターになる可能性が高い。こうしたターゲットに対しては、関連するビジネス系書籍の情報を提供し続けることで、定期的な購入=「本格的使用」が見込めるのだ。
さらに、顧客はアフィリエイト制度を利用して、読んだ本の魅力を紹介すれば報酬を得ることもできる。
やがて、「本を買う→アフィリエイト記事を書く→収入を得る→新しい本を買う」というサイクルが生まれ、顧客がダイレクト出版を「愛用」する状態を築いていく。
ダイレクト出版は、このように「AMTUL」の段階を前提にした巧妙な施策を講じることで、着実にファンを増加させているのだ。