「ナイキ」は言わずと知れた世界でもトップクラスの知名度を誇るブランド。
しかし創立当初は、日本のシューズメーカーであるオニツカ(現在のアシックス)の販売代理店だったという。
これが、日本のスポーツシューズがアメリカの市場へと展開されるきっかけとなった。
トップアスリートの独占契約でブランド価値を向上
ナイキは、設立当初から伝説的なランナーであるスティーブ・プリフォンテーンなどのトップアスリートと独占契約を結ぶというマーケティング手法を取り入れてきた。
バスケットボール選手マイケル・ジョーダンとのタイアップも、その一手である。誰もが知る偉大な存在であるトップアスリートが、実際にナイキの商品を使用し性能を保証する。
このような取り組みで、商品価値もブランドイメージをも大きく向上させることに成功したのだ。
一方、ナイキは「ランニング」という1つのスポーツ文化の確立に一役買い、自社製品の売上を伸ばしてきた。
ランナーが増えれば、シューズが売れる。ランニングを支援する計測アプリ「Nike+Run Club」の提供もその一環であるが、こうした取り組みもブランド価値を支えている。
すべての商品・サービスは一貫したメッセージから生まれる
このように、ナイキはさまざまな手法でブランド価値を高めてきた。
これらの手法の根底には「アスリートのパフォーマンスを向上させる」という不動のブランドアイデンティティがある。
いくら、ナイキ製品のファッション性のみを求める顧客が増えようとも、それはぶれることがない。トップアスリートとのサポートも、ランニングを支援する商品・サービスの開発も、すべて「アスリートのパフォーマンスを向上させる」というアイデンティティに基づいて設計されているのだ。
なお、ナイキには「Just Do It!」などのスローガンがあるが、これはあくまでも対外的なコミュニケーションに用いられるもの。
ナイキのブランドアイデンティは、あくまでも「アスリートのパフォーマンスを向上させる」で変わらない。
ナイキは、のちにオニツカと離れて「ワッフルソール」や「Air」などの優れた機能性を持つ製品をオリジナルで開発。技術面でも高い評価を受けることになるが、その情熱を支えた源泉となる力もまた、このブランドイデンティティであり、ナイキが築き上げた顧客との信頼関係の礎なのである。