Branding Knowledgebase SINCE.

【グローバルマーケティングの成功事例】商習慣の異なるアジアでコンビニを流行らせる方法

CATEGORY : ブランディング成功事例

UPDATE : 2019.12.23

文責 : 一筆太郎

この記事のポイント

日本とアジアでは、流通や構造上の大きな違いがあった

1店舗に全力投球して成功例をつくってから横展開する

日本とアジアでは、流通や構造上の大きな違いがあった

大手コンビニエンスストアチェーン「ファミリーマート」は、アジア7地域にファミリーマートブランドを展開している。

アジア進出は、1988年の台湾進出に始まり、おもに東アジアを中心にエリア拡大を果たした。
 
 
進出当初、アジアにおけるコンビニストアのビジネスにはいくつかの大きな課題があったと言う。

まず基本的な仕組みの問題。特にインフラ整備が大きな課題であったが、アジア各国と日本では店舗づくりの方法にさまざまな違いがある。

一般的なところでは、日本では顧客のニーズに合わせて商品を調達して在庫管理を行い、それらの状況は本部と共有される。しかし、アジア諸国では卸業者が商品を納入するため、本部と店舗の間で情報共有がされにくいのだ。

また店舗設備にもサプライヤーが介入しているため、店舗ごとに商品や陳列を柔軟にアレンジするといった対応ができない問題がある。

さらに、日本のコンビニエンスストアにはおにぎりやサンドイッチなどを製造する専用の工場があるが、アジア各国にはそうした設備を持つという概念がない。

そのため、当然のように店舗によって品質や衛生面にばらつきが生じる。これは「ファミマブランド」をチェーン展開するには、致命的な問題であった。
 
 
 

1店舗に全力投球して成功例をつくり、横展開する

そこでファミリーマートは、まずは1店舗でのインフラ整備を徹底して行い、アジア版ファミリーマートのモデルケースをつくり上げることに専念した。アジアでの成功例を一つ作ることに注力したのだ。

店舗を増やすのは、その後である。

同時に「都市部と郊外の地域差」や「人や文化の違い」、ビジネスに対する相互理解の基本になる「共通言語の確立」などグローバル展開する上での課題を一つずつクリアしていき、スタッフとのコミュニケーションもきめ細かに対応していった。

彼らは日本流のビジネスをベースにしつつも積極的にアジア流の商習慣や文化を受け入れて、ローカライズを進めたのである。

こうしてアジアの人たちと信頼関係を築いていったファミリーマートは、一つの店舗での成功例を横展開する形で順調に店舗数を伸ばしていき、アジア各国で地域に根差したコンビニエンスストアの展開に成功した。

オリジナルを押し付けずに現地にコンバートしていく判断も、グローバルマーケティングでは必要だ。

もちろん、変えてはいけない領域を明確にして守る必要はある。しかし、異国であるからにはこうした適応力が求められる局面も決して少なくはないのである。

RELATED ARTICLE

ご相談ください お問い合わせ