ロックイン効果とは、ある商品やサービスを購入した顧客が、何らかの理由でその商品やサービスから離れづらくなり、顧客との継続的関係が維持される効果のことを指す。ロックイン効果の具体的な事例は、私たちの生活の身近なところで発見できるものが多い。
キーボードの配列:業界の「最初の基準」になることで成功
最も身近で有名なものは、キーボードの配列だろう。現在、私たちが使っているキーボードの配列は英文字のキーが一番上左からqwertyに並ぶ「QWERTY配列」がほとんど。
しかし、これは決して合理的に計算し尽くされた配列ではないと言われている。実際、かつてはもっと覚えやすくて早くタイピングができる「Dvorak配列」という配列が提案されたこともある。
ただ、既にQWERTY配列が世界中のタイプライターに採用されており、タイピング学校やパソコンの教室でもQWERTY配列で学ぶことがほとんどたったことから、結局Dvorak配列は普及することなく消えていった。
キーボードの配列は技術や合理性からかけ離れたところでロックイン(固定化)されてしまったのだ。
Facebook / twitter:他のサービスにも使えるプラットフォームを提供して成功
実はFacebookやtwitterもロックイン効果をうまく活用して成功を手にしている。
インターネットでサービスを使う際に、「Facebookアカウントでログイン」「twitterアカウントでログイン」という表示を見かけたことがないだろうか?
何気なくこの機能を利用している人も多いかもしれないが、ここにもロックイン効果が潜んでいるのだ。
このような機能は、Facebookやtwitterがプラットフォームとして自由に使えるように公開しているもので、サービス提供者はFacebookやtwitterと契約を交わすことなくこの機能を自分のサービスに実装することができる。
サービス提供者にとってはアカウント管理の手間が減り、ユーザーの個人情報を保持することなくサービスを提供できるというメリットがあり、ユーザーにとっても各種サービスへのログインが簡単になるというメリットがある。
一方、Facebookやtwitterにとってのメリットは何か。
それは、ユーザーがFacebookやtwitterを退会しようと考えたときに、アカウントサービスでログインしていた他のサービスの設定をすべて変えないといけなくなるため、退会を抑制するような効果があるのだ。このようなアプローチはシステムロックインと呼ばれている。