マーケティング・オートメーションとは
効率的・効果的なマーケティング活動を自動的に行うための支援ツール。
たとえば、見込み客のセグメンテーションを自動化することで、それぞれのターゲットに最適なマーケティング活動を行い、販路の拡大や生産性の向上、顧客情報の資産化などにつなげることができます。
アメリカを中心とする海外では既に広く浸透しており、日本ではまだ十分に普及されているとは言えないものの、これから市場拡大する可能性が高い分野と考えられています。
具体的にどのような効果がもたらされるのか。
海外の先行事例を見てみましょう。
様々なステージの見込み顧客をMAで整理
BtoB専門のソフトフェア開発・販売を行うアメリカのシンコムシステムズ(Cincom Systems)は1968年創業、15カ国以上に多数のオフィスを持つグローバル企業。1976年には日本法人シンコムシステムズ・ジャパンも設立されています。
彼らは世界各国の営業部隊が独自に動いて顧客獲得を行っています。ゆえに各国の見込み顧客(リード顧客)が今どのようなステータスなのか、どんな情報を受け取っているのか、その見込み度合いがわからないという問題を抱えていました。
そこで、彼らは全社的にマーケティング・オートメーションを導入し、あらゆる顧客情報のデータ化と分析を行いました。
メルマガのコンテンツをフックに、優先顧客を自動抽出
彼らがマーケティング・オートメーションを活用して行った分析の一例がこちらです。
・営業で獲得したメルマガ登録企業が自社サイトを訪問した際、どのような動きをしているのかをつぶさに追跡
・メルマガのコンテンツをテーマごとにタグ付けして顧客の興味の範囲を解析。どういった商品やサービスが売れそうかを予測
・メルマガ登録者の情報をプログレッシブプロファイリング機能(入力フォームの項目を動的に変更し、ユーザーの属性情報を徐々に蓄積する機能)で収集
こうした施策によって顧客の実態を明らかにし、優先的にアプローチするべき顧客、顧客に対して売り込める商品やサービスを自動的に抽出。これらの情報を漏らすことなく営業部隊に共有しました。
結果として、効率的かつ的確な情報配信ができるようになり、コンテンツへのエンゲージメントがはるかに向上。メルマガ開封率は2000倍近くも増加し、キャンペーンの開封率も大幅に向上、そして、新規見込み顧客も購買顧客も増加したのです。
BtoBの取引の場合、相手の社内事情や予算、稟議などの兼ね合いで、見込み顧客が顧客になるまでに時間がかかるケースが多々あります。
つまり、見込み顧客リストの中にはつい最近見込み顧客になった企業もあれば、長期間で検討中になっている見込み顧客もいます。これらの全顧客にアプローチを仕掛けるのは非効率的であり、ステージによってベストなアプローチのタイミングも方法も当然異なります。
こうしたケースにおいて、マーケティング・オートメーションの活用は実に有効な打ち手に成りうることを、この事例は示してくれているのではないでしょうか。