昼メシを食べようかと、いつもは行かない1ブロック先に足を運んでみた。六本木の事務所の近くには大きな幹線道路があって、それを渡るには地下道を歩くか、横断歩道を2回渡る必要がある。そういった理由で向こう側に食べ物屋があることは見えているのだけど、なかなか足が動かないのだ。今日はたまたま幹線道路の向こう側にいたので、せっかくだからと行ってみることにした。いつもの場所から100メートルもないところだけど、ちょっとした冒険感がある。
そこには蕎麦屋とパン屋とフランス料理屋と中華料理屋が密集していた。土地柄どこも高そうだ。フランス料理屋は1500円と3000円のコースで、シャンパンか何か頼めと言わんばかりの雰囲気がある。パン屋も一つ650円のパンが平気で売っている。そこにいる人たちの雰囲気もどこか違って見える。昼からシャンパンなんて当たり前じゃないと言ってるような、パン一つの値段なんて気にしていなさそうな、どこか優雅な雰囲気が漂っていた。僕らは中華料理屋に入り、マーボー豆腐セットと坦々麺を頼んだ。
いつもは行かない1ブロック先というのは場所に限った話ではない。たとえば言葉にそれを置き換えてみると、コミュニケーションの冒険が待っているのではないだろうか。ふだん、「こんにちは」とか「たーっす!」とか言ってる挨拶を「こんにちは、今日は肌寒いですね」と言ってみる。「たーっす!さみぃっすねー」でもいい。寒いですねというなんのことはない言葉を付け足すだけだけど、ふだんはそんなことを言う必要もないかと思って言わずじまいにいたとしたら、それはいつもは行かない1ブロック先と言えるかもしれない。
検索ワードを変えてみるというのもあるかもしれない。たとえば「ブランディング」で検索していたのと「魅力 引き出す」とか「会社 長所」とか「強み 見つける」なんかで検索してみる。いつも使っているワードは凝り固まっている可能性があるから、それを違う言い方にしてみるというのも1ブロック先のすぐに行けるけどなかなか行かない場所のようなものと言えるのではないだろうか。
日常の冒険というのはややもすると意外とカンタンに体験できるのかもしれない。