バンコクは日本人が好きになってしまう街だという。遊びに来たつもりが居ついてしまったという話は現地にいる人ならば聞き飽きた上に話し飽きているように見えるほどお決まりの文句だ。高度成長期の日本の風景に似ているという話もよく耳にした。今はなき故郷というか原風景を見るような、見るだけでなく、そこで生活できる喜びが大きな価値になっているのだろう。高度成長を超えた日本は金太郎飴のように同じような風景の地方都市をもたらされた。国道を走っているだけではどこの街にいるのか、初めて行った土地では特にわかりにくい。そんな日本で故郷を感じるよりもタイにそれを感じてしまうことはわからないではないように思う。
そんなバンコクでもひとたびモールに入ったら、そこがタイであることを忘れてしまう。かつ屋もココイチもやよい軒もある。もちろん日本では見ることのないお店もあるから、初めて来た僕には日本でないことは明らかなのだが、三度もくればその印象も変わっているだろう。グローバル化が進むと世界が均質化してしまうのだろうか。
その街に独自性を感じさせられるかどうかは都市ブランディングにかかっている。ブランディングというのは、主体はブランドオーナーである。都市ならばその都市を運営する人たちがブランドオーナーになる。