Branding Knowledgebase SINCE.

2/26
これからの働き方のヒント

CATEGORY : 今日の一筆

UPDATE : 2019.02.26

文責 : 一筆太郎

六本木の小さな事務所に、だんだんと人が集まってきてくれるようになってきた。ブランディングマガジンSINCE.を立ち上げたのが去年の6月で、会社のサイトができたのはその2か月後のこと。それから半年が経って、ブランディングカンパニーSINCE.というブランドがこの世界に立ち現れてきたようでうれしくなってくる。
 
 
今日は勉強を兼ねてアルバイトをしたいとムサビで建築を学ぶ学生がやってきた。僕が学生のころなんて、ブランディングのブの字も知らなかった。経済なんてつまらない学部の代名詞くらいに思っていたし、勉強なんかしたくなくて、ただ映画とか自分がかっこいいと思うことをやりたかっただけだった。僕がそんな経験しか持っていないものだから、彼と話すのもおぼつかない。ブランディングがなんなのか知っているのだろうか?かっこいいクリエイティブをつくりたいなら、もっとクリエイティブを強く押し出している会社の方がいいんじゃないだろうか?うちに彼が学びたいことはあるのだろうか?そんなことばかり考えてしまった。
 
 
彼は僕の想像を大きくうわまわり、ブランディングに対する僕の想いというか考えを理解してるのかは定かではないけど、サイトの内容に共感したと言ってくれた。うちのWEBサイトを見て、「ど真ん中」なんて言ってくれる。デザインで経営に貢献したいというようなことも言っていた。事業がどうしたらもっと成長するのか、そこにこそ価値がある。共感したポイントがそれだとするならば、目線が同じなことに驚いてしまう。親は会社経営をしているという。きっと、それも影響しているのだろう。
 
 
彼は僕が持っていなかったものをもう一つ持っていた。それはビジョンとスタイルだった。30の時の年収と働き方のようなものが、今日僕に会うにあたってしたためてくれた手紙の中に書いてあった。僕はそれを見てうれしくなってしまった。希望はとても高い年収(サラリーマンの平均年収の4倍近く)で、労働時間の少ない働き方が書かれていたのだ。直感的にいいなぁと思った。僕は年収を高めるのに頑張ってきたけど、とてもじゃないけど少ない時間で得たものではない。ブランディングというものが、最強の利益を上げるための方法だと言うのなら(言ってるのは僕なのだが)、実現可能なんじゃないかと思ってしまったのだ。と同時に、なぜか未来を感じた。
 
 
聞けば、大病を患ったことが高い年収と少ない労働を求める思考に至った理由だった。病気になってみて、身体を酷使してまで働くことに価値を感じなかったのだろう。彼はとても真面目で、まっすぐ目を見て話す姿や僕の言葉を聞こうとする態度がなんともキレイだった。
 
 
戦略とは弱者が勝つための方法だと『戦略がすべて』(瀧本哲史著/新潮新書)には書かれていた。もしそうだとするならば、戦略させあれば、体が弱くたって、心が弱くたって、勝てるかもしれないのだ。ブランディングは、戦略とクリエイティブでできている。強者しか勝てないブランディングなんて、優れたものとは言えないだろう。弱者が勝ててこその戦略であり、ブランディングなのだ。

新しい光が、若い彼の目の中にあるような気がした。

RELATED ARTICLE

ご相談ください お問い合わせ