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水をうまくする魔法の器

CATEGORY : 今日の一筆

UPDATE : 2019.03.02

文責 : 一筆太郎

朝、起きて一杯の水を飲むことが楽しみに変わるなんて思わなかった。
 
 
素晴らしい水に出会ったんじゃない。水には軟水や硬水と質の違いがあるし、エビアンやボルビックや南アルプスの天然水やそれ以外にも商品ブランドもたくさんある。うちにはウォーターサーバーがあって、水の種類を選ぶことができるけど、あえて水を選ぶほど僕はこだわっちゃいない。ウォーターサーバーは水や湯がすぐに出ることが価値であって、それ以上ではないのだ。昔、20歳くらいの頃、アーユルヴェーダにハマっていて、朝起きたら15分煮沸した白湯を飲むなんてやってたけど、いまでは水を飲むことすらなくなっていた。
 
 
そんな僕が水を飲みたいと思うようになった理由は、備前焼だ。備前焼はこないだも書いたけど、ブランドとして備前焼は優れている。とにかく機能優位性が高い。水との相性が良くて、最初はビールで驚かされた。炭酸の泡が備前焼に入れた途端、生命を得たかのように騒ぎだすのだ。喉に入れた時の炭酸の強さが、今まで味わったどのものとも違って感じた。それに温度を逃しにくいという特徴がある。キンキンに冷やしておいたビールはキンキンさを保ったまま喉に入って来た。マイナス何度みたいなビールもあるけど、炭酸が強くて冷たいビールは初めてだ。もう外で飲むときだって持っていきたくなるほど気に入ってしまった。
 
 
コーヒーも違う。岡山県の伊部にある備前焼ギャラリーしょうざんで、お店の人が出してくれたコーヒーが美味しくてビックリした。まろやかで、もともとトロッとしたコーヒーが好きな僕にはたまらないものだったのだが、あれ以来、事務所では毎日必ずコーヒーを備前焼で飲むようになった。味も変わるし、触感も変わる。コーヒーカップが備前焼なのだが、ドリップするものも備前焼にすればよかったと悔やんでいる。
 
 
水でも、ビールでも、コーヒーでも、備前焼にかかれば別物に変わる。備前焼は高温で長い時間をかけて焼かれる締焼きと呼ばれる製法でつくられる。長いと2週間も1000度を超える火で焼き続けられる。それがなぜこんなふうになるのかはわからないけど、器が飲みものを変えてしまうなんて、魔法瓶より魔法という言葉が似つかわしい。

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