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酒を呑んで、本を買う。

CATEGORY : 今日の一筆

UPDATE : 2019.03.27

文責 : 一筆太郎

今日は撮影の日だった。カメラマンは永禮さんで、数年前は二人でアメリカを旅行したりしょっちゅう一緒に酒を飲んでいた仲だけど、お互い忙しくなって、ずいぶん久しぶりの撮影での再会となった。僕は広告用のモデルカットをクリエイティブディレクションするだけでなく、今回は撮られる側でもあったので、撮影が終わったのは17時と早かったのにとても疲れてしまった。諸々の段取りを組んでくれていた一恵ちゃんはもっと疲れていて、帰るさなかからどこでご飯を食べようかという話しか言葉が出なかった。食べる店を決めるのは僕の役目で、なんとなく近所のいつも行くようなところでない新しい何かを求めていた。探してみると、「博多 どかどか団」という店を見つけた。駅から近いのに今まで知らなかった店だ。店の前に着くと「ここは良さそうだねぇ」と一恵ちゃんも乗り気。運良くスッと入ることができた。店の中ではホークスの試合がテレビで流れ、博多弁が飛び交っている。メニューも旨ジャンクな感じで、一恵ちゃんが大好きなとん平焼きもある。ここは最高だ。疲れも相まってすぐに酔っ払ってしまった。お腹がふくれたところで、店もすぐに混んできたこともあり、長居をせずに店を出ることにした。
 
 
僕は店に入る前からどかどか団の近くにブックオフがあることを知っていた。きっと帰りは寄るんだろうなと思っていたのだが、酔っていたからか意外な結果が待っていた。もちろん、ブックオフには寄った。が、予想以上に買ってしまったのだ。こんなに持ちきれぬほど買うとは思っていなかった。一恵ちゃんは「あらまぁ」という顔をしたけど、買ってしまったものは仕方がない。おもしろいので何を買ったか挙げていってみよう。
 
 
『平凡パンチの時代』塩澤幸登著 河出書房新社
1964年〜1988年希望と苦悩と挫折の物語
 
平凡パンチのことはよく知らない。けど、編集者というものがカルチャーとして現れたのがこの頃なんじゃないかと思って気になった。帯にはこうある「戦後の日本のサブ・カルチャーの夜明けを創りだした若者雑誌が辿った忘れたれた歳月を人々の埋もれた記憶のなかに訪ねる」。この水脈に少なからず僕も影響を受けてるんだろうな。
 
 
『神は妄想である』リチャード・ドーキンス著 早川書房
 
「あのドーキンスがなぜここまでむきになるのか?」という帯のコピーに惹かれた。むきになってる人の言葉というのはなんともおもしろそうだ。しかもドーキンス。
 
 
『一万年の旅路』ポーラ・アンダーウッド 翔泳社
ネイティヴ・アメリカンの口承史
 
久しぶりに見つけて買ってしまった。ブランドがストーリーだというのなら、こういう壮大なストーリーに触れておくべきだと思う。
 
 
『ノスタルジアの考古学』ジョン・ボードマン 国書刊行会
 
タイトルがいい。「古代ギリシア人にとって過去とはなにか」と帯にあるのだが、目次を見ると、第一章 ギリシアでの「過去」の役割 ―私たちの素材 第二章 化石となった骨 ―それらは骨 第三章 英雄にふさわしい家 第四章 「実在のもの」と「自然のもの」 第五章 過去を具現化する ―ここに怪物あれ 第六章 過去を具現化する ―英雄と英雄的なもの 第七章 結論となっている。内容はよくわからないけど、コピーがいい。読みたくなるし、キュンとくる。
 
 
『マクルーハンはメッセージ』服部桂著 イースト・プレス
メディアとテクノロジーの未来はどこへ向かうのか?
 
メディア論は僕が学生のころ流行っていた。いろいろ読んだのかもしれないけど、グーテンベルグの銀河系しか覚えていない。この本はその先を教えてくれるんじゃないかと勝手に思った。
 
 
『動きすぎてはいけない』千葉雅也著 河出書房新社
ジル・ドゥルーズと生成変化の哲学
 
僕が学生のころ、ドゥルーズは大スターだった。ゴダールに並ぶスター。何度も読んでは諦めて、結局完走したことなどないドゥルーズ。著者は僕の二つ年下の方で、僕よりはずっと頭がいいからこれも完走はできないのかもしれないけど、なにか親近感が湧いた。
 
 
『植物の神秘生活』ピーター・トムプキンズ+クリストファー・バード著 工作舎
緑の賢者たちの新しい博物誌
 
最近、神秘というワードが恋しくなっている。検索すればなんでも出てくる時代に神秘という言葉が薄まってしまった気がする。テレビでアマゾンに取材に行ったりするのが流れるが、あれも神秘とは言い難い。これは1987年に初版が出されていて、ライアル・ワトソンを読んでいた頃を思い出す。
 
 
『人形メディア学講義』菊地浩平著 河出書房新社
 
タイトルに惹かれた。この人おもしろそう。人形って確かにメディアだ。本書にはこう書かれてる。「ここでいうメディアとは、一方から他方へ情報を伝達する媒介という狭義のものではなく、マーシャル・マクルーハンが『メディア論 ―人間の拡張の諸相』において提起した広義のものを指す。マクルーハンは、人間の作り出すあらゆるものがメディアであり、媒介される内容だけでなくメディアそれ自体を分析することの必要性を訴えた。なぜならメディアとは人間身体の拡張/延長/外化であり、それ故に無色透明な媒介であることはあり得ず、あらゆる主観と紐付くことを宿命づけられた存在であるからだ。そして、いうまでもなく人形もまたメディアに他ならない(いやメディアこそが人形だというべきかもしれない)。」
 
 
『ホモ・デウス』上下 ユヴァル・ノア・ハラリ著 河出書房新社
テクノロジーとサピエンスの未来
 
サピエンス全史の著者の話題作。
 
 
『自由という牢獄』大澤真幸著 岩波書店
責任・公共性・資本主義
『<世界史>の哲学 東洋篇』大澤真幸著 講談社
 
大澤真幸先生は昔何度か松岡正剛さんと話してるところを撮影したことがある、ような気がする。難しいから内容はきちんと取れているかわからないけど、透明感のある文章が好きだった。久しぶりに触れてみたくなった。
 
 
『プロフェッショナルの条件』ドラッカー著 ダイヤモンド社
はじめて読むドラッカー【自己実現編】
 
さて、ここからビジネス書コーナーへ移動する。この本は持っていたかもしれないけど、ドラッカーの本は買ってしまう。そしていつも僕はドラッカーにはなれそうもないと思う。
 
 
『ゲーム・チェンジャーの競争戦略』内田和成編著 日本経済新聞出版社
ルール、相手、土俵を変える
 
「競争」という言葉に敏感な今日この頃。土俵を変えるかどうかは別として、土俵を選ぶ習慣はとても大事だと思う。iPhoneがもしパソコンコーナーに置かれていたら?競争を優位に進めることは経営にとって必須。
 
 
『戦略経営論』マイケル・A・ヒット他著 CENGAGE Learning
競争力とグローバリゼーション
 
教科書みたいでわかりやすい。2014年初版だから割と新しいのもいい。
 
 
『企業戦略論 上 基本編』 ジェイB. バーニー著 ダイヤモンド社
【競争優位の構築と持続】
 
なぜか上だけ買ってしまった。第一章で戦略とは何かから始まり、定義づけようとしているのが信頼できそう。
 
 
『資源ベースの経営戦略論』デビッド・J・コリス+シンシア・A・モンゴメリー著
 
戦略という言葉とポーターが推賞しているという帯のコピーがあったから。
 
 
『経営は何をすべきか』ゲイリー・ハメル著 ダイヤモンド社
 
最近、原田泳幸さんの経営塾を聴講させていただいて、経営とは何かということに興味が出てきた。原田さんは経営とは「らしさ、人材、財務の三本柱だ」と言っていた。この人はなんて言うのだろうか?
 
 
『ゴールドマン・サックス 王国の光と影 上』チャールズ・エリス著 日本経済新聞出版社
 
これも上だけ。前職の職場に出身者がいたけども、ゴールドマン・サックスという名前を聞くだけで強そうで身構えてしまう。一体どういう会社なんだろう?
 
 
『主体的に動く アカウンタビリティ・マネジメント』ロジャー・コナーズ他著 Discover
 
どうすれば社員はもっと主体的に動けるのか?と帯にあるが、そう思ってる社長は多いだろう。こんなことが実現できてる会社なんて日本の中にどれだけあるのだろうか?星野リゾートはできていそうだが、うちもこれを読めばうまくのだろうか。
 
 
『テッド・ニコラスのレスポンス広告成功法則大全』テッド・ニコラス著 DIRECT Pubishing
 
レスポンス広告とブランディングの関係にずっと興味があって調べている。レスポンス広告とブランディングをどうにか融合できないのか考えている。きっとできる。まだその方法は見えないだけ。
 
 
『現代広告の心理技術101』ドルー・エリック・ホイットマン著 DIRECT Pubishing
 
すごく専門的で魅力的なタイトルだけど、101ということははじめの一歩的な意味合いなのだろうか?心理技術を上手に駆使する人に憧れる。
 
 
『マーケティング大全』酒井光雄編著/武田雅之著 かんき出版
「理論」と「実践」を融合させた究極の入門書!
 
事例がたくさん載ってそうなので。

とまあこんな具合である。とにかく重い。ビニール袋に入れられた本を手に帰宅する頃には酔いが冷めていた。

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