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フレーミング効果【framing effect】

この記事のポイント

同じ選択肢でも、伝え方次第で意思決定は変わる

有名な実験「アジアの疾病問題」

利益と損失、どちらにフォーカスした情報なのか?

同じ選択肢でも、伝え方次第で意思決定は変わる

新型コロナウイルスの蔓延により、世界各国での感染者数や死亡者数が連日報道されている。テレビ、雑誌、インターネットでコロナに関する様々な情報が飛び交い、その中には巧妙な印象操作で恐怖を煽ったり、逆に楽観的な印象を与えている情報もあるだろう。

こうした状況の中、情報を正しく受け取るために知っておくと便利なのが、「フレーミング効果」という心理現象である。
 
 
フレーミング効果とは、同じ選択肢であっても、その表現方法によって意思決定が変わること。

フレーミングのフレームとは絵画の額縁に由来する。つまり、絵画と同じく対象のどこを切り取るのかによって、人が受ける印象は大きく変化することを意味している。

 

有名な実験「アジアの疾病問題」

フレーミング効果は1981年に行動経済学者のダニエル・カーネマンと、心理学者のエイモス・トヴェルスキーが発表したもので、現在は主にマーケティング分野に応用されている。
 
 
フレーミング効果の有名な実験に「アジアの疾病問題」がある。

「アジアの疾病問題」では、複数の学生をターゲットに下記2つの問題を設け、それぞれどの選択肢を選ぶのかを調査した。
 
 
【問題1】
600人が死亡すると予想される特殊なアジア病の流行に備えて、2つの対策が提案されている。

対策Aを行うと、200人が助かる。

対策Bを行うと、1/3の確率で600人が助かるが、2/3の確率で誰も助からない。
 
 
【問題2】
600人が死亡すると予想される特殊なアジア病の流行に備えて、2つの対策が提案されている。

対策Cを行うと400人が亡くなる。

対策Dを行うと、1/3の確率で誰も死なないが、2/3の確率で600人全員が亡くなる。
 
 
上記の問題の解答結果は以下のようになった。

問題1に対する学生の回答は、対策Aが72%、対策Bが28%。

問題2に対する学生の回答は、対策Cが22%、対策Dが78%。
 
 
よく読むとわかるが、対策Aと対策Cの内容、そして対策Bと対策Dの内容はそれぞれ全く同じものである。

にもかかわらず、学生の解答の比率は設問によって逆になったのだ。

なぜか? 問題1では「助かる」ことに焦点を当てており、問題2では「死ぬ」ことに焦点を当てているからだ。
 
 
 

利益と損失、どちらにフォーカスした情報なのか?

人は通常、利益を得る場面では「リスクを避けて確実に手に入れること」を優先する傾向がある。

一方、損失を被る場面では「リスクを冒してでも最大限に回避すること」を優先する傾向がある。
 
 
問題1では、「助かる」という利益にフォーカスされたため、リスクを避ける選択肢が選ばれた。

問題2では、「死ぬ」という損失にフォーカスされたため、リスクを冒してでも損失を回避する選択が選ばれたのだ。
 
 
このように「利益を得ること」にフォーカスするフレーミングをポジティブフレーミングと言い、「損失をこうむること」にフォーカスするフレーミングをネガティブフレーミングと言う。
 
 
アジアの疾病問題は、まさにコロナパニックを予言していたかのような実験だろう。私たちが今接している情報は「利益」と「損失」のどちらにフォーカスされた情報なのか?それを考えるだけでも、今までと違った景色が見えてくるかもしれない。
 
 
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