企業が顧客一人ひとりとの関係を構築し、長期に渡って製品・サービスをリピート購入してもらい、顧客のLTV(Life Time Value:顧客生涯価値)を最大化するマーケティング手法のこと。サービス・製品の市場シェアを高めることよりも顧客との結びつきを深めることに主眼が置かれる。
リレーションシップ・マーケティングは、アメリカのマーケティング学者レナード・ベリー(Leonard L. Berry)によって1983年に提唱された。既存顧客との関係性(リレーションシップ)を重視し、一時的な売上よりも、長期的で良好な関係を顧客と築きLTVの最大化を図るというものである。
リレーションシップ・マーケティングの背景には、「売上の8割は全顧客の2割にあたる優良顧客が生み出している」という、パレートの法則(80:20の法則)を応用した考え方があると言われている。コストや労力のかかる新規顧客開拓に力を注ぐより、既存顧客との良好な関係を継続し、優良顧客となってもらうことを重視するのだ。
競争の激化、市場や事業環境の変化、経済の低成長などにより、新規顧客獲得のコストは増大している。限られた経営資源(ヒト・モノ・カネ)を有効に使うためには、今すでに自社の製品やサービスを利用している顧客との関係を継続させることが重要である。リレーションシップ・マーケティングでは、一度獲得した顧客に自社の魅力を発信し続け、ときには厳しい意見をもらいながらも関係を強固にする。また、著しく普及しているソーシャルメディアを活用することで、今後ますます発展していく可能性のあるマーケティング手法だと言えるだろう。