マーケティングマイオピアとは、別名「近視眼的マーケティング」とも呼ばれている。「マイオピア(Myopia)」の意味は、目先のことや先見の明がない状態をさす言葉。アメリカのマーケティング分野の第一人者セオドア・レビット氏の文献のタイトルからきている。
マーケティングマイオピアは企業活動が停滞する可能性を予見するための考え方であり、マーケティングマイオピアを意識することで、将来の企業活動の停滞を回避することを目指すもの。
1950年代、鉄道は自動車に、映画はテレビに、それぞれ取って代わられつつあった。ところが、あいかわらず鉄道産業の従事者は自社の提供するサービスの内容を「鉄道」と捉え、映画産業の従事者は自社の提供内容を「映画」と捉えて有効な対策を打てないでいた。そのことがまさに近視眼的なのである。つまり、人々が鉄道産業に求めていたものは鉄道そのものではなく「輸送」であり、映画産業に求めていたものは「娯楽」であったのだ。自らのビジネスや提供内容を近視眼的に捉えるのではなく、人々が求めているニーズや抱えている問題を理解すべきであるという点で、マーケティング・マイオピアはマーケティング発想の中核に位置づけられている。