デービッド・アーカーはアメリカの経営学者でブランド論の第一人者。カリフォルニア大学バークレー校ハース・ビジネススクール名誉教授であり、ブランド戦略を専門としている。マーケティング理論家としてだけでなく、コンサルタントとして国内外の多くの企業に対してアドバイスをしてきた。
アーカーが初めて注目されたのは1980年代に高まっていたブランド・エクイティ(ブランドの資産)に関する議論を体系的に整理したためだ。
著書『Managing Brand Equity』(1991年、邦訳『ブランド・エクイティ戦略』)の中でブランド・エクイティを「ブランド名やシンボルと結び付いたブランド資産/負債の集合であり、製品のサービスの価値を増減させるもの」と定義した。
ブランド・エクイティの構成要素として
(1)ブランドロイヤルティ
(2)ブランド認知
(3)ブランド連想
(4)所有権のある資産
(5)知覚的品質
の5つを挙げた。
それぞれの構成要素は目新しいものではなかったが、ブランドの価値を高めれば製品や企業の価値も上がり、ブランドの価値が下がれば製品や企業の価値にも負の影響が加わることを示した。また、ブランドの価値が顧客や企業の価値に様々な変化をもたらすことを体系的に示した点が斬新であったという。
アーカーは他にブランドのベネフィット(利点)には「機能的ベネフィット」「情緒的ベネフィット」「自己表現ベネフィット」があるとする<ベネフィットの3分類>、ブランドをどう認識して欲しいか言語化する<ブランド・アイデンティティ>など多数のモデルを打ち立ててブランド戦略を発展させている。