新しい商品やサービスが市場に投入され、消費者に浸透していく過程で、ある消費者層から次の消費者層にマーケットが浸透しようとする際に生まれる制約条件によって、浸透が阻害されてしまうことがある。
キャズムとは「溝」や「谷間」の意味で、上記のように消費者層のあいだに亀裂が生まれる現象のことを指す。
消費者層をイノベーター、アーリー・アダプター、アーリー・マジョリティ、レイト・マジョリティ、ラガードに分類した際、とりわけアーリー・アダプターとアーリー・マジョリティの間に生まれる亀裂が大きく、最大の壁だと言われている。
このキャズムを越えなければ、ボリューム層であるアーリー・マジョリティに市場が浸透することなく初期市場で縮小の一途を辿ることになる。
この最大のキャズムが生まれる背景には、初期市場とメインストリーム市場で、消費者のニーズが異なる点が挙げられる。
初期市場にいる消費者が求めるのは、革新性や新しさである。そこに商品・サービスが手軽に入るインフラや、失敗しないリスクはあまり考慮されない。
一方、メインストリーム市場にいる消費者は、商品・サービスの安全性や有用性、手に入りやすいインフラなどを重視する傾向にある。
初期市場からメインストリーム市場に移行する際は、この市場間の矛盾をすり合わせる必要があるのだ。