返報性の原理とは、人間が持つ心理の一つであり、人から受けた好意や施しに対して「お返しをしなくてはならない」という感情が芽生えるメカニズム。一方的に与えられる状態を居心地悪く感じ、好意で返そう、自分も好意を示そうとする心理が働くことを指す。
心理学者のデニス・リーガンは、返報性の原理を立証する実験として、被験者に頼まれてもいないドリンクを渡してから「宝くじのチケットを買ってきてくれないか?」と頼んだところ、ドリンクを渡さずに頼んだときよりも2倍の確率でチケットを買ってきてくれたそうだ。ドリンクよりも宝くじのチケットが高価であるにもかかわらず、ついチケットを買ってしまったのには「好意にお返しをしなくてはならない」という返報性の原理が働いたのだという。
ビジネスにおいても、最初に好意を示し人に何かを与えることは、人間関係やモノゴトをスムーズにする上で自然に行われている行為である。特に顔が広く様々な人脈を持つ人間や優秀な営業マンは、返報性の原理を熟知しているケースが多い。また、豪華な無料サンプルをターゲットに送って一定期間後に購入の意思を聞く、いつでも返品OKな商品なども、この原理が働く可能性の高いサービスだと言えるだろう。