サンクコスト(埋没費用)とは、すでに支出され、どのような意思決定をしても回収できないコストのこと。
したがって将来に関する意思決定をする場合、サンクコストは考慮に入れず、今後の損益をだけを考えるのが合理的な判断とされる。逆にそれまでに費やした資金や労力、時間を惜しんで事業を継続すると、損益がさらに拡大するリスクがある。
しかし、人はつい「投資したぶんを取り返さないといけない」という心理が働き、サンクコストが意思決定に大きな影響を及ぼすことがある。これをサンクコスト効果と呼ぶ。
たとえば、競馬やパチンコなどの賭け事で損益が出た時、収支をプラスにするために回収するまで続けてしまう。セミナーや情報商材などで、結果を出すためにはあと数万円必要と言われると後に引けず支払ってしまう。といった判断がサンクコスト効果に当てはまる。
こうした現象は個人のみならず、企業が行うプロジェクトや公共政策などでも散見される。その代表例としてよく挙げられるのが、超音速旅客機「コンコルド」の失敗だ。コンコルドは唯一の超音速民間旅客機として話題となったが、定員が少ない、燃費が悪いなどの理由で、準備段階で採算が合わないことが発覚する。しかし、いったん動き出したプロジェクトを途中で止めることができずに運行を開始した結果、さらなる赤字に追い込まれることになった。
この事例から、サンクコスト効果は「コンコルドの誤謬」とも呼ばれることもある。