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韓国へ

CATEGORY : 今日の一筆

UPDATE : 2019.04.04

文責 : 一筆太郎

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韓国へ向かっている。ソウルへの空のルートは長野を越えて福井上空から日本海を渡り、韓国へと入る。太平洋に面する羽田から日本海の福井まで1時間もかからないことになんだか興奮し、飛行機から見下ろす山々の美しさをせっせと写真に収める。日本海に出てしまうと、窓の下は空の青と海の青と雲の白さだけになってしまい、写真を撮る事もなく、こうして原稿を書いている。
 
僕は韓国に行くのは初めてで、2時間半でいける海外というのがちょっと不思議だ。今回はソウルでエステなどを経営する方と化粧品などの開発の会議をするのが目的である。韓国は美容大国とよく聞くが、一体何がすごいのだろうか。以前、美容整形クリニックの仕事をしていたときに、日本は安全性を重視するが韓国は安全よりも美しくなることを優先するということを聞いたことがある。それが何を意味するのか、感じられたら面白い。
 
それにしても美容とはなんなのだろうか。以前、資生堂の広告を担当させていただいた。あの頃、化粧品がなんなのかなんて、きちんと考えていなかった気がする。ただ、その時に流行っていたマーケティング手法を取り入れて、それでもその時の僕なりに必死にブランドが受け入れられていくように試行錯誤していた。けれども、化粧品が女性にとってどんなものなのかどれだけ考えていたのだろうか。
 
資生堂のとある商品のライバルは当時、すでに他の化粧品ではなく、エステだった。一回に数万円するような施術がライバルだと言われていた。そんなライバルに打ち勝つためには、エステを知らなくてはならないし、その源流の一つである韓国を知る必要もあったのだと思う。これは韓国で人気の・・・という話は幾度か聞いていたのだ。それでも韓国に行こうと思うことはなかった。
 
韓国のプロゴルファーは、人気を出したければ整形しなさいと言われると聞いたことがある。韓国では手相は、なりたい人生や運勢になるように、手相を新たにつくるんだよと聞いたこともある。日本で生まれ育った僕は、親からもらった大切な体を傷つけるなんて罰当たりだという教育を親から受けてきたから、そんな韓国事情を聞くと驚いたし、そういうことが正面から理解できなかったのではないかと思う。
 
二十歳の頃にニューヨークに留学していた時、韓国人グループと一緒にいることが多かった。僕が別の学校に移るとなった時に最後にパーティーを開いてくれたのも韓国人のみんなで、その中で僕は日本人ひとり。あなたに会えてよかったと正面からまっすぐな目で言ってくれたのをいまでも覚えている。純粋で、優しくて、正義感が強いという印象が強かった。キムチパーティーを毎晩開いていて、それぞれがキムチを持ち寄っていた。僕はキムチがこんなにたくさんの種類があるとも思わなかったし、キムチがあれほど、彼らを安心させるものだとも思わなかった。僕は韓国に行ったことはないけど(まだ飛行機の中で日本海の上だから)、あなたに会えてよかったと言ってくれた彼らの印象がやっぱり強いし、その国にいけるのが嬉しい。
 
いまの日本はどうなのだろうか?整形に対する意識も随分変わってきたように思う。美しさとは一体なんなのか。美容とは一体・・・。たった2時間半を移動しただけで、何が違うというのだろうか。韓国にいくことで日本を感じ、韓国という国自体を感じられたらよいなと思う。

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