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ブランドは内側からつくらなければならない

CATEGORY : 今日の一筆

UPDATE : 2019.04.03

文責 : 一筆太郎

ブランドは、内側からつくられる。
 
今日は横浜のリノベーション事業を展開する会社のブランドのコアバリューを提案する日だった。この会社はリノベーション業界において上位のポジションにいる。ワンストップを売りにしていて、不動産の購入からリノベーションデザイン、銀行からの融資、保守管理まで一貫して、しかも多くの場合、一人の担当者が付き合ってくれる。顧客からの信頼は厚く評判のいい会社である。
 
しかし、この会社というか事業には一つの問題があった。それはブランドが乱立していて、それぞれが整理されずにいることだった。内部の人間も自分がどこに存在しているのか明確でなく、顧客もなんというブランドにお願いしているのかわかっていない状況だった。それを改善するために、立ち上げ当初からあるコアブランドの再生に迫られたのだ。コアブランドはいまは実体のないブランドとなっていた。飾りのような存在で、内部のメンバーもどうしたらいいものか悩んでいるようだった。
 
事業部の有志によってブランディングチームが構成された。10人近くの若くて気のいいメンバーである。会うだけで元気がもらえるような自然と笑顔になってしまう特技というか魅力を備えていた。彼らは普段、コーディネーターとして顧客との接点を持ち、営業としても活躍していた。僕は単純に、こういう人たちから家を買いたいなと思った。これまで優秀な営業マンに会うことは何度かあったけど、そういう人たちとも似た空気を感じた。
 
ワークショップをしてコアブランドのことや事業、顧客などのことを聞いていくと、一つのコンセプトにたどり着いた。それは「ワクワク」というエモーショナルなワードだった。メンバーのみんながそのイメージを持っているだけでなく、サービスや提供価値の中にもそのワードは重要な位置を占めていた。もうすでにあるものと言っていい。だが、それが見える化されていなかった。実際に接した人にはわかるけど、接してみなければ、体験してみなければわからない状態になっていた。これをなんとかする必要がある。
 
ブランドはガワを整えればいいのではなく、内側のメンバーの意識と発信する内容が変わることが大切だと僕は言った。メンバーのみんなからしてみれば、恥ずかしかったり、イメージがわかなかったりで、どうしたらいいものかという顔をしていた。何か参考になる本はないかと問われたので、僕は自分が前に買いた本を紹介した。それは『トップも知らない星野リゾート』という本だった。僕は星野リゾートは本当にすごいと思う。プレス向け発表を見てもその凄さはわかるのだけど、外部に頼っていない。内側からブランドが立ち現れている様子が見て取れるのだ。

簡単でないことはよくわかるのだが、素晴らしい人がいるブランドは内側からブランドを強化していける可能性が十二分にある。戦略が必要だけど、それが実現できれば一番強いブランドを構築できると思うのだ。ブランドが内側からできる仕組みをつくってサポートできたらいいな、したいなと思った。

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