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ブランドとともに成長することの難しさ

CATEGORY : 今日の一筆

UPDATE : 2019.01.26

文責 : 一筆太郎

「僕が立ち上げたお店(ブランド)が、僕と一緒に歳をとらなかったんだなって気づいたんです」
と、飲食店を複数経営するM社長は言った。
 
M社長は、10年ほど前に立ち上げた店が大繁盛した。連日大賑わいで、その土地で知らぬものはいないほどだったそうだ。売上も伸びる一方だったが、ある年を境にそのベクトルが変わっていく。
 
とても研究熱心な人で、人間観察にかけてはプロフェッショナルなんじゃないかと思えるほど、深い洞察を持っている。大繁盛したお店は20代の女性をメインターゲットにつくられた。その年代の顧客を虜にするにはどうしたらよいか考え抜かれてできたのが件の大繁盛店だったのだ。
 
ブランドが、ブランドオーナーと一緒に歳をとらなかったと言う言葉はとても印象的だった。僕はSINCE.という会社を立ち上げてまだ1年足らずだから、それを実感として得ることはできない。
 
M社長は、飲食の素人として始めた僕が歳を重ねるごとにプロになってしまった。とも言っていた。素人であればこそ、顧客の目線を持てたのだが、プロになってしまうと目線が変わってしまったのではないかと言うのだ。
 
ブランドはブランドオーナーと一心同体となることが多い。ブランドという不思議な存在とオーナーという所有者の関係が一つになってしまうこと。見方を変えれば、一つになっているのだから一緒に成長していきそうに思える。だが、ブランドの成長とオーナーの成長が同調しないことには何かわけがあるのではないだろうか。
 
ブランドは顧客との関係において成立するものだ。顧客の想起するイメージがブランドイメージとなる。ブランドはブランドオーナーの想いによってできているが、それが顧客との関係において大きな価値となったときに初めて成功するのだろう。
 
ブランドとともに成長することの難しさをM社長に教えていただいた。

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