ブランドイメージと事業活動の実態に生じたギャップ
「まず〜い、もう一杯!」のCMで青汁の代表格となったキューサイ株式会社。
創業55年目を迎えた2019年、同社はさらなる成長に向けて、ロゴとコーポレートスローガンを刷新した。
キューサイは青汁の他に、「ひざサポートコラーゲン」などのヘルスケア商品を販売し、スキンケア事業も展開している。
その商品ラインナップは80以上。
しかも、製品別売上高の構成比もヘルスケア51%、スキンケア46%、その他3%となっており、青汁以外の商品が会社の業績に大きな影響を与えている。
しかし、自社で実施した調査によると、大半の人々が「青汁だけの会社」というイメージを持っていることがわかった。おそらく読者の多くも、「キューサイ=青汁」というイメージを抱いているのではないだろうか。
つまり、イメージと事業活動の実態にギャップが生まれていたのだ。
今回のロゴとスローガン刷新の背景には、「青汁だけの会社」から脱却していくという成長戦略があった。
青汁の伝統と、新しい未来への挑戦を色で表現
新しいコーポレートスローガンは、「生きるを、しなやかに。」
強固な強さではなく、どんなうねりの中でも柔軟に生きていくことができる「しなやかさ」を提供していきたい。そしてキューサイも「しなやか」な企業であり続けたい、という姿勢や想いを表現している。
「青汁だけの会社」から、「お客さまのしなやかな生き方をかなえ、支え続ける会社」へ。伸長するヘルスケア事業や青汁以外の健康食品も包括するスローガンとなった。
そしてロゴに採用されたキューサイの「Q」には、「Question:常に問いかけること」、「Quest:探求していくこと」、「Quality:高い品質であること」の3つの想いを込めている。
そこから生まれる「´」は、気づきを表すアテンションとして表現。
また、コーポレートカラーには、同社の原点である青汁を想起する緑色と、地球を想起する青色の中間色を採用。
これまでの伝統と新しい未来への想いが融合した色となっており、「Q’SAIブルー」と名付けられている。
こうしたブランドイメージの刷新に伴い、長年の主力商品である「ケール青汁」も2020年には商品名を「THE KALE」に変更することを発表。
「青汁」の文字をなくすという大胆なブランド戦略がどのような結果をもたらすのか、今後のブランドの動向に要注目である。