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一つの石鹸から始まった花王。
創業から続く「月の顔」ロゴが示すもの

CATEGORY : ブランドのデザイン

UPDATE : 2020.01.07

文責 : SINCE.編集部

1887年に創業した花王。

創業者の長瀬富郎氏が、洋小間物商「長瀬商店」を設立したのが始まりとされている。
 
 
最初に誕生したロゴは、長瀬商店で扱っていた輸入品の鉛筆に月と星のマークがあったことから、これをヒントに長瀬氏自ら考案した。1890年のことだ。

このマークは国産の高品質な化粧石鹸として同年に発売された「花王石鹸」のラベルに用いられ、やがて「美と清浄」を象徴するシンボルとなった。
 
 
長い歴史の中で様々な変化を遂げてきた同社だが、ブランドを象徴するロゴも時代とともにいくつかの変遷を経ている。花王のロゴの変遷を追ってみよう。
 
 
 
1943年、月の顔が右向きから左向きに変更される。これから満ちていく左向きの月の方が縁起がよいという考えによるものだった。


 
 
1948年、男性の顔から女性の顔へと変わり、月の上と下の部分がつながって、丸いシルエットに。この変更は、月のマークを製品や広告に使ったときに印象を強める効果をねらったものだ。


 
 
1953年、消費者に親しみと信頼感を与えるよう、子どもの顔になり、色もオレンジに変更された。1950年代からは、天然油脂アルコールを中心とした新技術を開発し、衣料用洗剤やシャンプー、台所用洗剤、住居用洗剤など、石鹸から始まった事業が大きく花開いた時代であった。


 
 
1985年、「花王石鹸株式会社」から「花王株式会社」への社名変更にともないロゴも変更。新鮮で躍動感のある色ということで、コーポレートカラーをグリーンに一新した。


 
 
2009年、グローバルに統一した企業イメージを印象づけることを目的に、漢字の「花王」から、英文字の「Kao」に変更。現在も日本およびアジアのコンシューマープロダクツやケミカル事業などで使われている。


 
 
なお、世界で花王グループを表すロゴとして「Kao」が使われている。

 
 
様々に形を変えてきたコーポレートロゴだが、創業時から「月の顔」は残り続けてきた。

創業者の長瀬氏は、質の悪い国産石鹸かこうかな輸入石鹸しか手に入らなかった当時、「買い求めやすい価格で顔まで洗える品質のよい国産石鹸を作りたい」という強い思いを抱いていた。

試行錯誤の研究の末に誕生した石鹸は、顔まで安全に洗えるもの。当時としては画期的な品質保証(分析証明書)を付けるほど、安心・安全・高品質を追求したのだ。

そして、長瀬氏はこれを「カオ(顔)石鹸」と名付け、「花王」という字を当てはめた。
 
 
創業時から変わらない月の顔には、「顔も洗えるほど安心・安全・高品質な石鹸を作る」という強い意志が込められているのだ。

その精神は現代にまで大切に受け継がれ、製品づくりの根幹となっているだけでなく、「安心・安全な社会」を後世につなぐサステナビリィ活動を精力的に行う姿勢にも表れている。

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