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一流のアイスは一流の店に置く【ポジショニング戦略の成功事例(8)】

CATEGORY : ブランディング成功事例

UPDATE : 2019.02.10

文責 : 松山響

この記事のポイント

ハーゲンダッツ:「スーパープレミアム」を品質のみならず販売ルートでも徹底して成功

ポジショニング戦略とは、商品やサービスについて独自の優位性を持つポジションを築き、ターゲットとなる顧客の頭の中に差別化されたイメージを植え付ける戦略のこと。

簡単に言えば、市場における自社製品(サービス)の立ち位置を戦略的に決めることを指す。

すでに成熟しているかのように思える市場であっても、競合分析や消費者の潜在的ニーズを綿密に掘り起こしていくと、まだ誰も手をつけていない鉱脈に辿りつく可能性はある。

ハーゲンダッツ:「スーパープレミアム」を品質のみならず販売ルートでも徹底して成功

ハーゲンダッツはアイスクリーム市場に「スーパープレミアムアイスクリーム」というカテゴリを創出した代表的ブランドである。1961年にアメリカで創業し、日本には1984年に参入してハーゲンダッツ・ジャパンが誕生した。彼らは高級路線アイスクリームで市場を勝ち取るために、明確なポジショニング戦略が打ち立てていた。

ハーゲンダッツの企業理念は「Dedicated to perfection.(完璧を目指す)」。素材のおいしさを大切にするため世界から原料を厳選し、特にミルクへのこだわりへの追求力は他の追随を許さない。

そして、一流のアイスであることを消費者の頭に植え付けるために、発売当初は販売戦略にもこだわる。それは、温度管理がしっかりしているデパートや高級スーパー、直営店に販売店を絞ったということ。これにより、プレミアムな世界観を作り上げていったのだ。当時、高級路線のアイスの代表格といえばレディボーデンだったが、これは駄菓子屋でも販売していたため、やがてハーゲンダッツにその座を奪われてしまうことになる。

また、直営店の立地にも明確な戦略があった。彼らが注力したのは首都圏・近畿圏のショッピングセンター、ターミナルや郊外駅前、繁華街やメインストリートなど。共通していることは、大勢の人が行き交い、店の看板がたまたま目に入りやすい場所であること。男女の親密さを表現したアイスらしからぬ広告戦略も相まって、ハーゲンダッツは一気に多くの人々に知られるブランドになったのだ。

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