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プレミアムモルツは何がプレミアムなのか
【ポジショニング戦略の成功事例】

この記事のポイント

ハレの日ではなく、日常の週末に「プレミアム」を提供して成功

ポジショニング戦略とは、商品やサービスについて独自の優位性を持つポジションを築き、ターゲットとなる顧客の頭の中に差別化されたイメージを植え付ける戦略のこと。

簡単に言えば、市場における自社製品(サービス)の立ち位置を戦略的に決めることを指す。

すでに成熟しているかのように思える市場であっても、競合分析や消費者の潜在的ニーズを綿密に掘り起こしていくと、まだ誰も手をつけていない鉱脈に辿りつく可能性はある。

その好例が、サントリーのザ・プレミアム・モルツだ。

ハレの日ではなく、
日常の週末に「プレミアム」を提供して成功

2000年初頭に登場したプレミアムモルツ。売れ行きはそれなりに好調だったものの、世間ではプレミアム感のあるビールといえばまだヱビスビールのイメージが強い状況であった。

サントリーはプレミアム路線の新しい戦略を打ち出すべく、まずはヱビスビールのことを徹底的に調査した。

すると、ヱビスビールの売り上げが最も上がるのは、お中元などのギフトシーズンや年末年始。いわゆる「ハレの日」需要に応えるビールであることがわかった。

さらに消費者の動向調査を大規模に行ったところ、贅沢なビールを飲みたくなるシーンは、休日の夕食中であることがわかった。

こうした調査から浮かび上がったキーワードを掛け合わせて生まれたのが、

「最高金賞のビールで最高の週末を」というキャッチフレーズ。

2005年にモンドセレクションで国内ビール初の最高金賞を受賞したことをフックに、

「週末においしいビールを家で飲むというささやかな贅沢」を消費者に提供。2006年には前年比400%以上の売り上げを確保する。さらに2008年には、ついにヱビスビールの売り上げを抜いてNo.1となり、同社初のビール部門での単年度黒字を記録する。

「週末に家で飲める贅沢なビール」というポジションを掘り起こしたことで、贅沢なビールといえばプレミアムビールという地位を築いた。プレミアムモルツが成功した理由は、ハレの日ではなく日常に「プレミアム」を発見したことにあったのだ。

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