ポジショニング戦略とは、商品やサービスについて独自の優位性を持つポジションを築き、ターゲットとなる顧客の頭の中に差別化されたイメージを植え付ける戦略のこと。
簡単に言えば、市場における自社製品(サービス)の立ち位置を戦略的に決めることを指す。
マニー:世界一の品質を目指すために、やらないことを明確化して成功
栃木県にはマニーという会社がある。これは、手術用縫合針、眼科用ナイフ、歯科用治療器などを手がける医療機器メーカー。一般的にはあまり知られていない会社だが、実はマニーが製造している虫歯の根を削る器具は世界シェア35%、白内障手術で使われる眼科ナイフは世界シェア30%という実績を保持しているのである。
マニーの企業理念は「世界一というプライド」。世界一を追求する風土がこの会社を支えているのだ。そして、彼らは珍しく「やらないこと」を明確に定義している会社でもある。これを読むと、マニーが明確なポジショニング戦略を打ち立てていることが如実にわかる。
■マニーがやらないこと
(1)医療機器以外扱わない
(2)世界1の品質以外は目指さない
(3)製品寿命の短い製品は扱わない
(4)ニッチ市場以外に参入しない
同社では事業を3つに分類しており、「アイレス(手術用縫合針)」「サージカル(眼科用ナイフ、トローカル)」「デンタル(リーマファイル」といずれもニッチな分野だが、それぞれの事業が売上に対して30%超。ひとつの製品の一極集中でなく、いくつかの核となる商品を持つことで事業ポートフォリオを形成している。
そして、製品を市場に出す際には「世界一か否か会議」が開かれる。ここでは、製品が世界一であることを証明するために、いくつかの角度から他社との定性・定量比較分析をする(例:製品種類、寸法、価格、納期、販売姿勢、小売評価)。その結果、世界一であると判断したものだけが市場に出回るのだ。
これらのポジショニング戦略は高い技術力や開発力を持っていることが大前提ではあるが、成功すれば業界内でもっとも強いポジションを得ることができると言える。